韓国釜山で行われた卓球世界選手権団体戦の試合をめぐり、一部で「中国メディアが日本の選手を批判した」と報じられたことについて香港メディアの香港01は25日付の記事で「事実と異なる」と伝えている。

物議を醸したのは「11−0」のスコア。「暗黙のルール(マナー)」などと呼ばれるもので、卓球界ではかつて「10−0」になった時点でリードしている選手が故意にミスをするなどして相手に1点を与えて完封を避ける習慣があった。伊藤美誠は2017年に出演したテレビ番組でこの「暗黙のルール」を紹介してスタジオを沸かせ、「中国選手が最初に始めて、それからほかの国の選手もそうするようになった」と説明した。

実際、元卓球選手の福原愛さんも14年のアジア大会でモンゴル選手を相手に誤って「11−0」でゲームを奪ってしまい、当時の中国チームの孔令輝(コン・リーフイ)監督から「外交問題になるぞ」とからかわれていた。こうした背景もあり、中国ではいまだに「暗黙のルール」を是とする意見も少なくない。

そうした中、このほど行われた卓球世界選手権団体戦では平野美宇や木原美悠が「11−0」でゲームを奪ったことが注目を集めた。香港01によると、中国メディアの上観新聞が17日に掲載した「世界卓球で1日に二つの『11−0』、張怡寧(ジャン・イーニン)が福原愛に1点を与えた『不文律』はなぜなくなったのか」と題する記事について、台湾や香港の複数のメディアが「大陸メディアが日本批判を展開した」などと報じたという。

しかし、上観新聞の記事は平野や木原が南アフリカの選手を相手に「11−0」を記録する“前日”に掲載されたものであり、記事中の「二つの『11−0』」とは中国の王曼昱とチャイニーズタイペイの高承睿がそれぞれウズベキスタンとナイジェリアの選手を相手に記録したものだった。

上観新聞の記事は「かつて『11−0』を避けるという不文律があったが、その後、得点を与えるのは相手へのリスペクトではないという主張が浮上し、意見はまとまっていない」と説明。08年の北京五輪女子シングルスで中国の張怡寧さんが故意にサーブをミスして福原さんに1点を与える場面があり、後に張怡寧さんが「当時は『11−0』にしないという暗黙のルールがあった」と語ったことを紹介した。

その上で、「中国は卓球界において長きにわたり覇権的な地位にあったため、故意に1点を与えるという行為は『友情が第一であり試合は第二』であり、『一人勝ちはしない』という考えが多かれ少なかれあった。しかし、時が流れるにつれて各方面からさまざまな声が上がるようになった。リードしている側は1点を与えることで集中力や緊張感が低下し、リードされている側にとっては挫折感を味わうかもしれない。公平な立場に立てば、互いがベストを尽くすべきである」と論じた。

同記事は15年に韓国選手が「11−0」を記録した時には物議を醸したが、19年以降は中国選手も相次いで「11−0」を記録するようになったと説明。今大会の初戦で中国女子がインド相手に苦戦したことに触れ、「どの試合においても100%勝利する自信がある者はいないのに、1点を与えようなどと誰が考えるだろうか。『11−0』は両者の実力差の結果であると同時に勝者の勢いを示すものであり、メンツとは関係がないのである」と結んでいる。(翻訳・編集/北田)