2017年7月26日、韓国・中央日報は、およそ200日後に迫った平昌(ピョンチャン)冬季五輪のスピードスケート競技場をめぐり、「屈辱的な提案」が地元自治体に寄せられていたことを報じた。

その提案とは、江陵(カンヌン)のスピードスケート競技場を、五輪終了後に冷凍物流倉庫として使いたいというもの。江陵は韓国東岸の都市、日本海で揚がる水産物の保管には立地も適当とみたようだが、同競技場は総額1264億ウォン(約126億円)を投じ五輪のために建設されたもの。記事はこれを「あきれた提案」としながらも、この一件は「事後の活用案がない五輪競技場の現実を克明に見せている」と指摘する。

実は同競技場は当初、五輪後に撤去される計画だった。しかし決定は2回の変更の末、結局昨年4月に維持の方向に決まった。国政介入事件の核心人物とされる崔順実(チェ・スンシル)被告の親族ら関係者が、競技場の運営権を狙った結果との疑惑もある。

今年2月に物流団地造成会社から上がったという「あきれた提案」は採用されなかったものの、同競技場の事後活用案は依然として未定のままだ。最近では、民間に分譲した上で大型会議場やウォーターパークとして活用する案や、札幌ドームのように室内サッカー場に改造し、地元プロサッカーチームのホームグラウンドとして使う案などが出たという。

韓国産業戦略研究院が今年2月に発表した報告書によると、同競技場を五輪以降に運営し続けた場合、年間32億5400万ウォン(約3億2400万円)の費用がかかる。一方で期待できる収入は年間10億ウォン(約1億円)程度だ。江陵にはこのほかホッケーセンター、フィギュアスケート競技などが開催されるアイスアリーナの施設が新設されたが、このうちアイスアリーナだけは五輪後に市民スポーツ施設としての使用計画が決まっている状態だ。

五輪後の会場活用という頭の痛い問題に、江陵市民行動事務局長のホン・ソンチャン氏は、「人口22万人の江陵にスケート競技場を三つも新しく建設するという発想自体が間違っていた」とし、スピードスケート競技場は「歴史の悲劇として残るだろう」と語っている。

この報道に対しては韓国のネットユーザーからも後ろ向きの反応が目立ち、「分かっていながらなぜ五輪を誘致した?」「初めからアイスリンク競技はソウルで、雪上種目だけ平昌でやるべきだった」「平昌五輪には反対。ただの浪費だ。今後こういうことは絶対にやめてほしい」「地元住民の利己主義がこういう無駄なものを生んでしまった」といったコメントが寄せられている。

一方で、「冷凍倉庫はなかなかいいアイデアじゃないか」「無駄に遊ばせておくより何倍もまし」「何を基準に『あきれた提案』と言っているのか。現実を直視した提案だよ」「冷凍倉庫をばかにするな。こういう画期的な発想の転換こそ必要だ」と、不採用となった案を推す声も目立った。(翻訳・編集/吉金)