東野圭吾氏は日本の有名な推理小説作家であり、その作品の中でも「容疑者Xの献身」は特に人気が高い。このほど「人魚の眠る家」の中国語版が出版されると、各大手通販プラットフォームのベストセラーランキングに早々と登場し、情報コミュニティサイト・豆瓣網では7.4ポイントの点数がつけられ、なかなか好評を博している。今や大人気作家となった東野氏だが、創作においては「冬の時代」を経験したこともあり、最初に就いた職業は自動車部品メーカーの技術者だった。中国新聞網が伝えた。

業界の垣根を乗り越えて作品を生み出す東野氏は、なぜこれほど人気があるのだろうか。「復蘇人」や「秘密調査師」などの作品がある有名ミステリー作家の永城氏は、「東野圭吾氏の小説が人気を集めるのは2つの特徴があるからだ。1つは推理が緻密で、ストーリーのプロットがしっかりしていること。もう1つは人間の本質を見つめていることだ。東野氏にとって推理小説は人間の本質を描き出すツールに過ぎない。一部の作品は厳密には推理小説とはいえないが、ミステリー的なムードや推理の点ではまったく遜色がない」と話す。

東野氏は今や、江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞、直木賞の数少ない「三冠王」であり、ベストセラー作家だが、大学では電気工学を専攻し、最初に就いた仕事は自動車部品メーカーの技術職だったことはあまり知られていない。専業の作家になったのは、1985年に「放課後」で第31回江戸川乱歩賞を受賞してからのことだ。

推理小説には主に本格派と社会派の2つの流れがある。本格派は厳密な推理による謎解きの小説、社会派は犯罪を描くことで社会の現実や人間の複雑さをえぐり出す小説だ。本格推理小説には100年以上の歴史があり、一連のスタイルやモデルが確立されている。探偵にはあまり賢くない助手がいるとか、吹雪が吹き荒れる雪山や孤島で事件が起きるなどだ。東野氏の初期の作品「放課後」などは本格派に属していた。

当時は1980年代から90年代の時期にあたり、日本の推理小説界は「新本格」ブームに沸き、作品が次々生まれていた。「新本格」とは「トリックの設定からトリックの解明まで」が行われることが前提で、そこにさらに独自の設定を組み込んだ推理小説を指す。この時代にあって、「社会派」寄りの着実な作品を書いていた東野氏が推理小説界の潮流と相容れないことは明らかで、東野氏自身、後にインタビューに答える中で、「正統派の本格推理小説を書く人はたくさんいたので、わざわざ自分が書く必要はないと思った。自分は自分にしか書けない作品を書こうと思った」と振り返っている。

こうして江戸川乱歩賞を受賞してから長い間、東野氏は大量の作品を生みだしたが、注目度はそれほど高くなかった。99年には「秘密」で日本推理作家協会賞を受賞した。

新経典文化股フン有限公司(フンはにんべんに分)で副編集長を務める黎遙さんは、「『秘密』はミステリーの殻に包まれたラブストーリーだ。この斬新な内容の作品がきっかけとなり、新しい読者層が切り拓かれ、東野氏は一躍人気作家となった。直木賞を受賞した時には、すでに押しも押されもせぬ人気作家だった」と話す。

東野氏の頂点を示す「容疑者Xの献身」は、何カ国語にも翻訳され、直木賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞した作品だ。主人公は天才数学者・石神哲哉とアパートの隣室に住む花岡靖子。娘と身を寄せ合って暮らしていた靖子は、暴力を振るう元夫を誤って殺してしまい、救いの手をさしのべた石神の指示によって、思いがけないトリックをしかけていく。

東野氏の作品にまったく欠点がないわけではない。豆瓣網でも「『人魚の眠る家』は言いたいことはシンプルなのに、冗長な繰り返しが多く、読んでいて非常につまらなかった」というコメントがみられたり、「東野圭吾の小説は言葉がぶちぶち切れている」と評する人もいる。黎さんは、「これは日本語の表現方法や文章作法と関係がある。日本の作家は1つの出来事の前後関係をはっきり描写することを好むが、東野圭吾の言葉は相対的に簡潔だといえる」との見方を示す。(提供/人民網日本語版・編集KS)