灼熱の有明の地で、眩しすぎる太陽光線が肌を刺すような暑さのなか、昨年も開催された「ジャパン・インバウンド2017」に今年も参加してみた。

ビッグサイトの周辺及び外の通路等では太陽光線の照り返しが強く、とてもサングラスなしでは歩けないほどだった。3年後にこの周辺で開催される夏の五輪時には、この暑さ対策が最重要課題であることも再認識させられた。

3日間の日程で開催される今回のイベントも、約130の商業・運輸・IT関係の業者が出店し、さらに3日間にわたり連日の各種セミナー等が開催された。当イベントの主催は日経BP。さらに来年3月6日からは4日間にわたり「Japan Shop」のイベントも開催される(日本経済新聞社主催)。まだまだインバウンド関連の商戦は盛んであり、今後も伸び続けるだろう。

イベントは、約130の「出展業者」と、来場するインバウンドに関心のある者との商談が中心だが、同時にまた、特設会場内に設けられた約60種類の各種セミナーが開催されている。そして、このイベントであらためて注目したことは、ほとんどの出店業者がインバウンドの促進のためにはITを駆使して訪日客を呼び込むという手法であること。BtoBも、そしてBtoCの取引もすべてがIT頼みになっているということだ。かつてのようなアジアや欧米の国々の団体顧客に対して、どぶ板戦略で一戸ずつ訪問するようなプロモーション手法は姿を変えてしまったということだ。

訪日客を日本国内の商業施設や宿泊・輸送業者等へいかに効率的に呼び込むというかつての戦略がすっかり変わってしまったようだ。このことは地方自治体においても同じことが言えるようだ。今回、新潟県の三条市長と、和歌山県の高野山で有名な高野町長等も出席した「地域活性化」の特別セミナー・パネルディスカッションも開催され大変興味深い話も聞くことができた。かつては訪日する1人、2人の顧客・業者や、団体の観光客等の誘致に専任・兼任の担当職員が海外の各都市を訪問して誘致活動を続けてきたが、いまや映像やSNS等を利用し、そしてYouTubeを活用し、ネットを通じて海外顧客に直接呼びかけているということだ。YouTubeも今や百万人以上が閲覧しているというからこれまた凄い。プロモーション手法がすっかり変わった。

会場内の各業者のブースもITを駆使した売込みが凄まじいという印象であった。集客も、翻訳も売り上げアップのためにはすべてがIT頼みだということになってきた。それも極力斬新さを常に前面に掲げて突き進む時代になってきた。しかし昔ながらの職人さんの匠の技で地道に活動を続ける部署や職場も必要だ。しかし、それらの技術を効率的に海外へ売り込むためには、これからは何らかのITを活用することも重要だ。小さな地方都市に居ながらにして海外へ技術を伝える手段もできる。また、その伝統的な技術もIT利用によりさらに進化させることもできる。グルメや味の世界も同じようなことが言えると思われる。

かつて、私が在職した10年ほど前の旅行業協会時代には、アウトバウンドもインバウンドも海外の機関や業者と必死になってメールやFAXでやり取りをしながらプロモーションを続けてきたものだが、今やLINEと微信(WeChat)で大方のことが完結してしまう。スピードも速い。一度に数百の業者等と連絡も取れ、情報も取得できる。夜中でも必要情報が刻々と着信する時代となった。一瞬にして十万人単位の顧客に商品等を紹介する時代になった。

初日の昼の時間帯には、政府からも菅内閣官房長官が駆けつけ、今回のインバウンド振興に向けた熱い思いを語った。如何に訪日客を伸ばすかという施策をさまざまな分野・ケースについて語った。原稿を見ることなく、次々と具体的なデータを掲げて訪日促進の重要性を訴えていた。これからも査証を含めさまざまな分野で岩盤に穴を打ち込み改革に取り組むということも印象的であった。我々業界人も数年前には全く信じられないことが次々と起こった。インアウトの人数も本当にひっくり返った。2020年訪日客4000万人という数字が実際にやってくるかもしれない。

9月には「世界最大級」の旅の祭典『ツーリズムEXPOジャパン』もビッグサイトで開催される。これからはアジアはもちろんだが、ヨーロッパからの滞在日数と消費額の高い顧客にターゲットを当てるという。今後も、さまざまな産業が「観光」に焦点をあて、インバウンドを軸に集結する時代がやってきそうだ。地方自治体も企業も。

■筆者プロフィール:秋澤文芳
東京(豊洲)在住。1973年千葉大学卒。日本旅行業協会を経て2010年より北京第二外国語学院大学旅游管理学部研究生として現在も在籍。工学院大孔子学院旅講師、東京都日中友好協会常務理事として交流促進。観光文化ツーリズム(株)代表として旅游企画・訪日インバウンドに取組む。