2017年7月29日、15年末の日本と韓国の従軍慰安婦に関する合意に基づき設立された支援財団の理事長が27日、辞任した。ソウルの日本大使館前の少女像は撤去されないどころか、設置の“お墨付き”が与えられた。文在寅大統領が選挙中に公約した合意の検証作業も本格化する。合意は風前のともしびだ。

聯合ニュースによると、元慰安婦の支援を行うために韓国が設立した「和解・癒やし財団」の金兌玄理事長が27日付で辞任した。同財団をめぐっては今年度の運営費が国会審議で全額削減されたため、日本政府拠出の10億円の一部を運営費に充てざるを得ない事態に陥っている。さらに、拠出金を使って慰安婦被害者に現金を支給した際、当事者の同意を得ず家族らの了承で支給を強行したとの疑惑も浮上していた。

財団の今後について、韓国外務省の報道官は「政府は現在、合意に関連した立場を検討中で、立場が整理されるまで事業を継続する」と述べ、当面は活動が続けられることを確認。その一方で、合意に関する検討結果次第では事業の中断や財団の解散もあり得るとも示唆している。

日本大使館前の慰安婦を象徴する少女像に関しては、15年12月の日韓両国外相の共同記者発表文書で、韓国の尹炳世外相(当時)の発言を明記。「韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する」としていた。

しかし、ソウル市鍾路区議会は6月末、都市空間芸術条例の改正案を可決。市民団体が無許可で設置した少女像が7月から「公共造形物」として管理されることになった。韓国メディアは「少女像が勝手に撤去されることがないよう、一種の安全装置を設けたことになる」と解説している。

釜山の日本総領事館前に昨年12月、市民団体が道路を管理する釜山市東区当局の許可を得ないまま設置した少女像も同様だ。釜山市議会は6月末、「市長は慰安婦被害者に関連した造形物、銅像などの設置、支援、管理事業を遂行できる」と規定する条項を盛り込んだ条例案を可決。これにより、像の撤去は事実上困難になった。

慰安婦合意について、文大統領は破棄や日本政府との再交渉には言及していないものの、「韓国国民の中で受け入れられないという感情もあるのも事実だ」と再三強調。合意の検証タスクフォースによる作業が近く本格化する。タスクフォースには外務省関係者のほか、民間の研究者や外交専門家らも加わるという。

民間人を参加させるのは、被害者の声や世論を反映できないとの批判を踏まえた措置とされ、検証結果は慰安婦合意に対する政府の立場を決める重要な判断材料になる。作業の中では、こう着状態が続いた交渉が土壇場で急進展して合意に至った経緯、「最終的かつ不可逆的な解決」との文言や少女像の移転と関連した文言が盛り込まれたいきさつも検証対象になるとみられる。(編集/日向)