北朝鮮が7月28日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の弾道ミサイルを発射した。7月4日に続いて2回目で、今回は異例の深夜に発射された。米国は軍事オプションの検討も選択肢としているが、甚大な報復攻撃を受ける懸念があり、困難視されている。

ミサイルは約45分間飛行し、高度は3500キロメートル超に達した。飛行時間、高度はともに過去最高という。北朝鮮メディアは「米国の本土全域が射程圏内になり、奇襲発射できる能力も誇示できた」とアピールしている。

トランプ政権はこれまで中国の協力による制裁圧力で北朝鮮問題を解決する方針をとってきた。ところが米国が想定していた以上の速さで、北朝鮮のICBM開発が進んでいることが判明。米国安全保障筋によると、来年にも実戦配備があり得るとの予測に修正したという。

ところが同筋によると、米国防省は、米国の攻撃に対する北朝鮮の報復によって、韓国市民多数が殺傷されるだけでなく、ソウル周辺に在住する米国人約3万人と駐在米軍約2万9000人の多くが犠牲になると予測している。このため、米政権による北朝鮮に対する軍事攻撃に直ちに踏み切るのは困難と判断している。

米国の世論は、今なお北朝鮮を死活的かつ緊急的脅威と見ていない。化学兵器使用によって多数の一般市民が死傷したことを受けたシリア爆撃時(4月)のような、人道的な事態が発生しているわけでもない。多くの米国市民の安全保障上の懸念は、主として、過激派テロや宗教的な過激集団に向けられている。

一方、中国は7月1日付で、遼寧、吉林両省の空港などの入国管理で、中国と他国の二重国籍者に対して、両方の国籍のパスポート提出が義務付けることになった。違反者には、即時に中国国籍が抹消される厳しい措置が取られ、波紋を呼んでいる。

また7月から遼寧省大連市などの大学で、中央から派遣された検閲官が授業を監督する措置が取られることになった。遼寧、吉林両省は北朝鮮に接しており、「今秋の共産党大会を控え、北朝鮮有事の場合の臨戦体制構築の動きではないか」と見る向きもある。

2つのパスポート提出の義務化で大きな影響を受けるのは仕事などの関係で外国籍を取得した一般の中国人移民。特に米国籍を持っている米在住の中国人は、中国に帰国する際は注意すべきだとの懸念も広がっている。中国国籍を失うことになれば、中国人としてのメリットが失われることになる。

検閲官が授業を監督する措置については、特に日本、米国出身者など外国人教授による授業が対象となるという。

一方、遼寧、吉林両省の北朝鮮国境地帯に中国人民解放軍の部隊が移動しているとの情報もあり、キナ臭い動きから目を離せない。(八牧浩行)