2017年8月1日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のダーク・ヘベカー駐日代表が日本記者クラブで記者会見した。9〜11月に開催する「12回国連UNHCR難民映画祭2017」について、「故郷を離れざるを得なかった難民たちは、世界中で過酷な状況に直面している」と指摘。映画を通じた理解と支援活動への協力を呼びかけた。

この映画祭は9月30日から東京、札幌、名古屋、大阪、福岡、広島で順次開催され、13作品が上映される。17年ベルリン国際映画祭最優秀監督賞を受賞した『希望のかなた』、17年サンダンス映画祭大賞グランプリの『アレッポ、最後の男たち』など13作品が上映される。いずれも大半が日本初上映。

会見後に17年ゴヤ賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート作品の『シリアに生まれて』の試写会があり、約200人が観賞した。国を追われ欧州を目指す子どもたちを追うドキュメンタリーで日本初上映。2011年からのシリア危機によって故郷を後にした難民は数百万人に上り、その多くは子どもたち。ヨーロッパへ向かう長く苛酷な道のりや周辺国の難民キャンプが少年少女の目を通じて描かれる。爆撃により負傷し、家族と生き別れ、子どもとしての時間を奪われ、それでも新たな希望を胸にたくましく生きる7つの小さな命にカメラが丁寧に寄り添う。ようやくたどり着いた見知らぬ土地での、孤独な少年の「望郷のつぶやき」は感涙を誘う。

記者会見でのUNHCRヘベカー駐日代表の発言要旨は次の通り。

故郷を離れざるを得なかった人々は、世界中で過酷な状況に直面しており、そうした人々の多くは、隣国に避難し、いつの日か故郷に帰りたいと願っている。彼らの現実を少しでも知り、自分達には何ができるのか。この映画祭は、そうしたことを考えるきっかけになると思う。

自然災害を度々経験してきた日本のみなさんは、故郷が傷つくことがどれほど辛いか、そして復興に長い時間がかかることをご存じで、これまでも他国で起きた悲劇に対し、温かい支援の手を差し伸べてくれた。これからも、困難な状況下にいる世界中の人々が希望を持ち続けられるようにUNHCRはみなさんと行動していきたい。

UNHCRは全世界で増え続ける難民を支援するために128の国で難民の救援活動を行っている。現在の支援対象者は6770万人に及び、その数が減る兆はない。活動のために必要な金額は7700億円を超えるが、そのうち72%が不足しており、一人でも多くの人に難民問題を知ってもらい活動を支えてもらいたい。映画祭を通じて皆さんが目にする状況を少しでも変えるため、ぜひご寄付による支援を検討していただきたい。(八牧浩行)