2017年8月4日、韓国・中央日報によると、日本統治時代に徴用され、強制労働させられたと主張する朝鮮半島出身者らが日本企業を相手に起こした損害賠償請求訴訟で、韓国の外交部が「請求権がない」という否定的な見解を示す意見書を裁判所に提出していたことが分かった。意見書が出されたのは朴槿恵(パク・クネ)政権時の昨年11月だ。

外交部の意見書の趣旨は、2012年に大法院(最高裁判所)が「1965年の日韓協定とは関係なく、強制徴用被害者の請求権は消滅していない」との判決を下したことと相反するものであり、物議を呼んでいる。

問題の裁判は強制労働させられたと主張していたパク・チャンファンさん(2001年死去)の遺族ら27人が三菱重工業と新日鉄住金を相手に起こした損害賠償請求訴訟の再上告審。同裁判は2012年に大法院が「徴用被害者には請求権がある」との趣旨で破棄差し戻しの判決を出した翌年に再上告され、現在も大法院で審理が行われている。

外交部が昨年11月に大法院に提出した意見書には、2005年に発足した「民間共同委員会」が出した公式立場のうち「(日本政府が1965年の日韓協定に基づいて支給した)無償3億ドルは強制動員被害の補償問題が解決したとの性格を持つ資金」という部分が含まれている。しかし、同委員会が明らかにした立場のうち「反人道的な不法行為の賠償請求権は協定とは関係がない」との部分は含まれていない。この立場は2012年に大法院が「強制動員は他国民に対する監禁などの不法行為に該当する」として徴用被害者の賠償請求権を認めたことで法的根拠も備わったが、外交部はこれにも触れていない。

さらに、結論部分ではむしろ、大法院の判決に批判的な意見を強調している。外交部は「被害者らが日本企業の韓国内の財産を差し押さえる場合、両国関係は取り返しのつかない状態になりかねない」「日本企業の韓国投資の障害となる」などとするメディアの報道や学会の主張を紹介している。また「日韓協定のように高度な政治的判断が求められる国家間の協定や外交問題については(大法院は)慎重に扱わなければならないという『司法自制の原理』に言及する見解もある」との内容もある。

外交部の意見書について、キム・ヒョン大韓弁護士協会長は「否定的な事例と主張を用いて2012年の大法院の判決に問題があるとの論理を展開している」と指摘した。徴用被害者訴訟の代理人であるチェ・ボンテ弁護士は「大法院が日本の主張に反論する明快な根拠を作ってくれたにもかかわらず、韓国政府はそれを全く活用できていない」と批判した。

一方、外交部当局者は「裁判所の判断の助けになるよう中立的な立場でさまざまな主張を載せた。どちらか一方に偏ってはいない」と説明し、「裁判所の最終的な判断が出ていない状況で政府が2012年の判決を引用することは難しい」と強調した。

これについて、韓国のネットユーザーからは「一体誰のための政府?親日の娘が大統領だったから?」「朴槿恵が国も国民も日本に売り飛ばした」「日本のために頑張っていたようだね」「その結果が弾劾。自業自得だよ」「再び日本の植民地になることを願っていたのか?」など朴槿恵前政府に対する批判的なコメントが数多く寄せられている。

また、「今がいかに幸せか気付かされた」「現在の大統領は弁護士として、2012年に三菱相手の訴訟で勝利を導き出したのに、前大統領は訴訟が進まないよう必死に邪魔をしていたということか」など文在寅(ムン・ジェイン)大統領と比較する声も。

そのほか「三菱の不買運動でも始めるか…。まずは目に見えるところから」と提案するユーザーや、「強制動員に対する補償は済んだ。今は日本政府が否定する部分、つまり強制徴用に対する解決が必要だ。そうすればその時点で請求権が生じる。そして、強制徴用は大法院で事実上立証されたから、請求権は現在、存在している」との意見を主張するユーザーもいた。

一方で「(日韓協定を結んだ)当時の韓国政府を責めるべき。日本は明らかに賠償責任を果たした。どうしてもと言うなら心からの謝罪を要求すべき。賠償はもう済んだ話」との考えを示すユーザーもみられた。(翻訳・編集/堂本)