文在寅(ムン・ジェイン)氏が韓国の新大統領となって3カ月近くが過ぎたが、その人気は依然として高い。腰の低い人間性が大衆の心をがっちりとつかんでいると言えるだろう。

ところで最近、そんな文大統領のやり方に「ほんと、こんなんでええの?」という疑問符を投げ掛ける視点もちょっとずつ出てきている。どんな視点なのか、朝鮮日報に載ったコラムなどを参照してお伝えしよう。

まずは、「非正社員ゼロ」計画。韓国の多くの会社は正社員よりも非正社員の方が多いのだが、文さんが大統領になって「非正社員ゼロ」計画を打ち上げた。もちろん聞こえはいいのだが、非正社員を使わずにはやっていけない会社の事情というものがあるわけで、そういう内容をおもんぱかっての措置ではなく、表面の結果だけを良くしようとする韓国独特の「持病」(見てくれ主義)のようなものが端的に表れた格好であるという批判。

そして最低賃金の大幅な引き上げ。2018年からは最低賃金は時給で7530ウォン(約740円)となり、ゆくゆくは1万ウォン(約980円)まで上げるという。これもなんとなく聞こえはいいけど、町のコンビニなどの零細企業主からしてみれば、こんなに上げられたら経営者をやっているよりアルバイトで働いた方がもうかる、というほどなのだ。時給7530ウォンでもやっていけないという経営者が続出している中、これが1万ウォンとなると大部分のコンビニなどは倒産してしまうだろうとみられている。

さらに内閣の人事にしても、国会の審査で過去の不正が明確なため野党の議員らからの絶対反対があったのに、大統領の権限で任命してしまう。本来なら、野党からの反対が強い場合はその旨一度は考慮し、野党からもある程度合格点をもらえるような人を選ぶのが普通なのだが、強引に、一方的に、「大統領の命令」という形での人事となっている。国防相や外相をはじめその他数人の人事が、野党の絶対反対の中での大統領命令という形での人事だった。

文さんは、一見腰が低そうに見えて、実はかなり頑固なタイプだ。こういった批判が、日本の言論からの批判ではなく韓国内の言論からの批判である点、注目したい。文さん(新政権)は、世の中というものをあまりにも甘く見過ぎているんじゃないかと、ちょっとこぼしたくもなるのである。

■筆者プロフィール:木口政樹
イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。三星(サムスン)人力開発院日本語科教授を経て白石大学校教授(2002年〜現在)。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。