2017年8月8日、首都圏など韓国各地で猛暑注意報が発令されるなど厳しい暑さが続く中、韓国でただ1頭飼育されているホッキョクグマをめぐり、この夏の環境が「虐待」に当たるとの指摘が出ている。韓国・ソウル新聞が伝えた。

京畿道(キョンギド)龍仁(ヨンイン)市にある韓国最大級のテーマパーク・エバーランドにあるホッキョクグマ「トンキー」の飼育場に、肝心のトンキーの姿は見えない。エバーランドによると、「トンキーが夏場のストレスを受けないように6月中旬から(飼育場に)幕を設置した。設置してから健康状態もより良好になり、9月まで継続しようか検討中」という。

韓国では、大田(テジョン)のテーマパークで飼われていたホッキョクグマ「南極」が半年前に膵臓(すいぞう)がんで死んだことが後に伝わり、最近になって「韓国に残る最後のホッキョクグマ」であるトンキーに対する関心が高まった。トンキーは1995年に韓国国内の動物園で誕生し、97年からはエバーランドで飼育されている。今年で22歳になるが、これは人間では70〜80歳に相当するそうだ。

高齢に猛暑が重なり、このほど動物保護団体から「ホッキョクグマが30度を超える中で暮らしていること自体が虐待だ。トンキーを海外の専門保護施設に送るべき」との声が上がった。

しかしエバーランド側は「世界各地の連携動物園とも協議を進めているが、トンキーの年齢が高齢であることから(海外への移動は)容易ではない」との立場を表明、さらに「飼育場の温度は普段18度に設定してある。ホッキョクグマの生息地であるカナダ・マニトバ地域は、夏の最高気温が26度を超える」と説明した。

「海外避難」については専門家らの意見も割れているという。エバーランドの園長を務めたこともある、ソウル大獣医学部のシン・ナムシク教授は「動物園で育てた動物は野生に帰すことが難しい。動物園で余生を送れるように管理するのが最善」と話す。一方で、動物保護団体の代表は「ホッキョクグマを救助・管理する海外の団体に送るべき」とし、また今後、同様の事態が起きないよう、「極地動物の展示を行うべきではない」と話している。

この報道に、韓国のネットユーザーからは「移動中に事故が起こるかもしれない。残念だけど、エバーランドで最善を尽くした方がいい」「韓国で生まれて20年以上のホッキョクグマが、カナダに適応できるとは思えない」「北極は今温暖化で餌がないし、人間だって80歳まで生きるのは大変」「それよりも、ホッキョクグマ専用の冷蔵庫のようなものを与えるべき」など、海外避難に否定的な意見が相次いでいる。

また、「最近思うけど、動物園って必要かな?」「人間は最も残忍で恐ろしい動物だ」「このままだと、自然が人間を生かしておく理由は一つもなくなる」など人間の利己心に警鐘を鳴らすコメントも寄せられた。(翻訳・編集/松村)