2018年1月19日、沖縄県・尖閣諸島の接続水域を初めて潜没航行した中国海軍の潜水艦。続いてフリゲート艦も接続水域に入った。新年早々、尖閣の領有権主張を一段とエスカレートさせる以外に何か狙いはあるのか。緊張を高める中国軍艦の行動は、改善に向かいつつあった日中関係にさざ波を立てている。

防衛省によると、海上自衛隊の護衛艦「おおなみ」と哨戒機P3Cが10日午後、宮古島の東北東側の接続水域内を北西方向へ潜行する潜水艦を確認した。潜水艦は11日午前にいったん接続水域を出たが、尖閣諸島の大正島北東で再び同水域に入った。

同じ大正島北東の接続水域では同日午前11時ごろ、中国海軍のジャンカイII級フリゲート艦が潜水艦の移動ルートと並び航行するのが確認された。2隻は同日午後、ほぼ同時に接続水域を出た。フリゲート艦に対しては護衛艦が接続水域である旨を無線で呼び掛けたという。

潜水艦は12日午後に尖閣諸島北西の東シナ海の公海上で浮上し、中国国旗を掲げた。小野寺五典防衛相は「商級」の攻撃型原子力潜水艦との分析結果を発表。「このクラスの潜水艦に搭載される巡航ミサイルが長射程ということは認識している」と指摘しつつ、「今回搭載しているかどうかは分からない」と語った。

海岸線から12カイリ(約22キロ)の領海の外側12カイリの接続水域は、公海の一部。国際法上、潜水艦が領海を通る場合、浮上して船籍旗を掲げなければならないが、接続水域では潜ったまま通過できる。

中国が尖閣の領有権を声高に主張していることから、外務省の杉山晋輔事務次官は中国の程永華駐日大使に電話し、「新たな形での一方的な現状変更で、事態の重大なエスカレーションだ」と抗議。これに対し、中国国防部は「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国固有の領土だ。中国艦艇の活動は完全に正当で合法的だ」とする立場を明らかにするとともに、日本に対して「事実を歪曲(わいきょく)している」と非難し、「強烈な不満と断固とした反対」を表明した。

中国の潜水艦をめぐっては2004年11月、「漢級」の原潜が潜航したまま石垣島と多良間島間の日本の領海侵犯。日本政府は自衛隊が武力行使を含む必要な行動を取る「海上警備行動」を発令した。尖閣沖の接続水域進入はその一歩手前の事態だった。

04年のケースは中国側が技術的な問題で誤って侵犯したとして、遺憾の意を表明し決着したが、今回は接続水域である上、現場が尖閣沖で、中国が同様の対応を見せる可能性は皆無。商級原潜は海自に監視されていることを承知の上で接続水域に入ったとみられ、今年になってからも相次ぐ中国海警局の公船による領海侵犯と合わせ、日本政府は日本の尖閣実効支配を突き崩す動きの一環ともみて警戒している。(編集/日向)