中国メディアの澎湃新聞は1日、重慶市の霊園が始めた墓参の代行ビジネスを紹介した。当局は簡素化された方式を評価しているが、記事は「あなたは受け入れられますか?」と疑問も呈した。中国は季節を区切る二十四節気のうち、春分の次に位置する清明節(2018年は4月5日)に墓参をする習慣があり、時期が近づくと関連する話題の報道が増える。

重慶市にある霊園、南山福座は今年、新たな墓参代行サービスを始めた。基本サービスは同霊園建物内の祭壇に茶と果物を備え、ローソクに点灯し依頼者からの手紙を代読する。所要時間は10分程度で、一連の儀式を動画撮影して依頼者に渡す。料金は100元(約1700円)だ。

中国では墓参の際、あるいは墓参できなくても清明節の時期には、死者があの世で楽に暮らせるようにと冥幣(模造紙幣、ミンビー)を燃やす習慣があるが、同サービスでは行わない。ただし、「祖母は生前に歯が悪かった。(柔らかくて食べやすい)ケーキを備えてほしい」「妻が好きだったバラの花を供えてほしい」などの要望は受け付けている。追加サービス込みの料金は200〜300元(約3400〜5100円)になる場合が多いという。

伝統的な冥幣を燃やす習慣が原因となり、墓参が集中する清明節の前後には墓地周囲で火災が発生することがある。また、2000年ごろからは紙幣を模したものだけでなく、家電、自動車、マンション、さらに「若い女性」をかたどった冥幣が流行して、当局が「迷信を助長」として規制に乗り出したことがあった。

「死者への供養」に伴う新しいタイプの事例としては3月31日、浙江省杭州市内のマンションで、住民が共用部分の10階廊下で規則に違反して冥幣を燃やし、後始末が悪かったために周囲の雑物に燃え移ってさらに大量の煙が発生し、11階の廊下で91歳住民が煙を吸い込んで死亡する事故が発生した。

中国当局は、華美な葬儀や死者に対する派手な供養は迷信に属するとして、簡素化を提唱している。しかし一方では、改革開放の推進に伴い過去の極端な社会主義時代における厳しい禁止が緩和されたという経緯があるため、厳しい規制を改めて実施することもできないでいる。

重慶市政府・葬儀事業管理センターの彭友誼(ポン・ヨウイー)主任は、南山福座が始めた墓参代行サービスについて「推奨するに値する。時空を超越しており、清明節の短い時間に墓参が集中することによる不便を補うことができる。人々が先人を思い、親族を追憶し、哀悼を示す要求を満足させられる。また、エコ文明と環境保護を具体化する特長がある」と評価した。

一方で、澎湃新聞は同サービスについて「墓前で泣くこともせず、紙を燃やすこともしない。遠い場所で紙を読んで100元の料金」、「あなたは、受け入れられますか?」と、多くの人々の感情とは距離があることを示唆する疑問を示した。(翻訳・編集/如月隼人)