大阪で生まれ京都で育った私は関西に親近感を感じる。その大阪で今週28〜29日に主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれる。この期間中に、米中、日米、米ロなど主要国間の首脳会談が予定されている。関西が華やぎ、世界中から注目されよう。名だたるトップ指導者が集結すると考えるだけでワクワクする。

中でも注目は米中首脳会である。昨年12月のアルゼンチンG20以来、5回目の顔合わせとなる。トランプ米大統領は「中国は合意を望んでおり、チャンスはある」と述べ、米中貿易摩擦の収束に向けた両国間の合意に期待感を示している。

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は既に電話協議し、米中首脳会談の前に、閣僚級でも協議することで合意した。米国が制裁関税を拡大して対立が激化した5月10日を最後に閣僚協議は開かれていなかっただけに、進展するよう望みたい。

米国は対中貿易赤字の削減に加え、中国による知的財産権侵害や外国企業に対する技術移転の強制などで中国に譲歩を迫っており、世界経済を脅かす米中貿易摩擦が沈静化に向かうかどうかがポイントになる。

米国は中国からのほぼ全輸入品に及ぶ追加関税案を既に発表。圧力をかけて交渉を有利に進めることが狙いのようだ。中国の報復関税で打撃を受ける米農家の不満も高まっており、習氏との対話で「手打ち」したいのが来年の大統領再選を目指すトランプ氏の本音だろう。

一方、妥協の道を探ってきた中国は、5月の通商協議が不調に終わると対決姿勢に転じた。米国産品の輸入拡大や貿易不均衡是正につながる中国国内法の改正など、米国が突きつけた要求が過大だとして「絶対に譲歩できない」と内外に宣言。背水の陣を敷く。

中国経済も落ち込みが続くなか、長期戦への覚悟を国民に求めるかのような報道も出始めた。持久戦に持ち込み、時間稼ぎをすれば大統領選への影響を懸念するトランプ氏が圧力を緩めるとの思惑もあるようだ。

トランプ大統領はロシアのプーチン大統領との会談にも乗り気とされる。2016年米大統領選へのロシアの介入をめぐる「ロシア疑惑」の捜査でトランプ氏とロシアの「蜜月」に厳しい目が注がれ、首脳同士が直接対話できない状況が続いている。トランプ氏は捜査が終結したのを機に対ロ関係正常化を図るとの見方も浮上している。

ホスト国である日本の安倍晋首相も、米国、中国、ロシアなどの首脳との会談が予定されており、内外に存在感を示す格好の舞台となるだろう。先の首相イラン訪問や北朝鮮問題、日米貿易交渉などを議論する見通しだ。米国のトランプ氏をはじめ中ロやイランとも良好な関係を保つ安倍首相ならではの“得意技”を発揮してもらいたいものだ。。

国家主席就任後、初訪日となる習氏との会談では、関係改善を受けた経済協力のあり方などが話し合われる見通しだ。G20前の27日に食事会を含めた首脳会談を調整している。習氏は国賓待遇での来春の再訪日についても協議されるという。

トップ同士の会談は平和友好と相互経済発展に向け大きな利点がある。元徴用工の問題などで亀裂が深まる韓国との首脳会談もぎりぎりまで対話の可能性を探ってほしい。
<直言篇91>

■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。