旧日本軍の従軍慰安婦だった女性が支援団体「正義記憶連帯」(正義連)の前代表を告発し、韓国内で波紋を広げている。告発を機に保守系紙は正義連の資金流用疑惑などを相次いで報道。与野党も参戦し、政界を巻き込んで政治争点化しつつある。

告発したのは日本政府を訴えた賠償請求訴訟の原告でもある李容洙さん(91)。7日の記者会見で寄付金の使途などをめぐり、正義連前代表で4月の総選挙の比例選に与党側から出馬して当選した尹美香氏を非難した上で、正義連などがソウルの日本大使館前で毎週水曜日に開いている抗議集会についても「若者のためにならない」などして、中止を求めた。

中央日報によると、与党「共に民主党」の金斗官議員はフェイスブックで「尹氏に対する保守陣営の攻撃が続いている。彼らは『寄付金の真実』ではなく『慰安婦の消滅』を狙っている」と主張。「屈辱的な韓日慰安婦合意を成立させた未来統合党、日帝と軍国主義にこびた親日メディア、『慰安婦は売春』という親日学者を総動員したようだ」とし、「今日沈黙すれば、保守ならず者の剣の舞は、それほどたたずにすぐにわれわれ首元を狙うことになるだろう」と強調した。

尹氏は一連の疑惑を否定。フェイスブックの投稿を通じて、自身と家族に関する報道に対して「6カ月間、家族や知人たちの息をする音まで暴かれたチョ・グク前法務長官が思い出される。私に対する攻撃は保守メディアと未来統合党がつくった謀略劇」と反論した。さらに「親日が清算できなかった国で、個人の人生をなげうち正義・女性・平和・人権のいばらの道に入った人間が通らねばならない宿命だと覚悟し、堂々と対抗する」とも訴えた。

一方、野党側は「寄付金の細部内訳を公開せよ」と攻勢を強めている。元裕哲・未来韓国党代表は「NGO(非政府組織)の生命は道徳性なのだから、これを透明性強化の契機にすればよいではないか」と要求。「水曜集会は憎しみと傷だけしか教えなかった」という李さんの発言を紹介して、「正義連は(自ら)叫ぶ被害者中心主義をしっかりと守っていたのか、原点に立ち返れ」と言及した。

未来統合党と未来韓国党は尹氏の疑惑に関連し、真相究明委員会形態の共同タスクフォース(作業部会)を設置する方針。中央日報は社説で「慰安婦問題は被害者はもちろん、韓国の全国民の心の奥深くまで残る最も歴史的な傷だ。韓日関係で最も敏感な懸案だ。そうした点で疑惑が政争の道具として利用されるのは何の利益もないどころか望ましくもない」と論じ、「韓国政府が迅速に真相を調べて明らかにし、問題点が見つかれば正す契機にするよう求める」と促した。(編集/日向)