米国と中国との間に続き、ロシアとの間でもきな臭さが漂ってきた。8月末、アラスカ沖のベーリング海でタラ漁をしていた米国の漁船団にロシア機が退去を命令。米側は戦闘機を出動させてロシア機をけん制した。黒海の上空では米空軍のB52戦略爆撃機がロシア機2機による危険なインターセプト(進路妨害)を受けた。

複数の米メディアによると、8月26日、漁船数隻で漁をしていたアラスカの漁師たちはベーリング海の国際水域で軍事訓練を行うロシア海軍と遭遇。直ちに米軍当局に報告した。ロシア側は英語で近くの漁船は軍艦の進路から外れるようにと警告してきた。

漁船の乗組員は「ロシアの軍用機が6度も船の進路を妨害し、指定した航路で水域から最高速度で出ていくように命じられた」と証言。北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は28日、米軍機がロシアのTu-142対潜哨戒機6機(2機1組が3組)の進路をけん制したと発表した。ロシア軍機はアラスカ防空識別圏を約5時間飛行し、アラスカ沿岸から50カイリ(約90キロ)以内に接近したが、米国やカナダの領空には入らなかった。

米北方軍(USNORTHCOM)は27日、「アラスカ沖で海面に浮上したロシアの潜水艦の監視を続けている」と述べ、「われわれは責任の範囲で、外国の軍艦を含む疑わしい船舶を綿密に監視する」と付け加えた。米国務省は28日、ロシアの活動を非難する声明を発表。トランプ政権は「ベーリング海における米国漁船とロシア軍の接近遭遇」についての報告を調査するという。

一方、米CNNによると、黒海上空の国際空域でロシア機は28日、B52の前方約30メートル以内を何度も横切り、乱気流を起こしてB52の機動性を制限した。米空軍司令官は「空中衝突の危険性を高める不必要な行動で、パイロット精神と国際ルールに反する」とロシア機の行動を非難した。

米欧州軍によると、この日は複数のB52が北大西洋条約機構(NATO)との連帯を示すため、即応態勢の強化と訓練機会の提供を目的として加盟国30カ国の上空を飛行した。米国とロシアの間では依然として解決のめどが立たないシリア、ウクライナ問題などを含め、このところ緊張が高まる一方。同時期に重なったロシア側の行動が偶発的なのか、それとも意図的なものなのかは不明だが、米ロの不信感を増幅させる結果を招いたのは間違いなさそうだ。(編集/日向)