2020年1月8日、韓国・ヘラルド経済は「半導体・車・鉄鋼…韓国内の産業現場が『非常事態』」と題してその実態を伝えた。

記事によると、韓国では「重大災害企業処罰法(重大災害法)」の施行を前に、半導体や鉄鋼、自動車、造船などの産業現場が騒がしくなっている。50人未満を除く全ての事業場が猶予期間なしに同法の枠に含まれ、安全管理構築に対する負担が避けられないのだという。

重大災害法は、事業場で死亡事故が生じた場合、危険防止義務を果たさなかった事業主を2年以上の懲役に処することが主な内容となっている。数百社に上る下請け会社では、いつどこで事故が起こるか分からない状況で元請会社の萎縮が最も懸念されている。事故だけでなく病気による処罰の負担も増すため、中小企業で構成された協力企業の生態系が崩壊する可能性も持ち上がっているという。

全国経済人連合会(全経連)はこのほど「重大災害法による産業災害の減少」という政策効果が不明瞭だと指摘していた。問題点としては「下請けで重大災害が発生しても元請のみ処罰される」「国内中小企業の受注が大幅に減少する恐れ」「重大災害発生時、専門性のある勤労監督官の代わりに警察が捜査する」「人工知能(AI)も遵法対象が分からないほど順守義務が広範囲であいまい」「企業の生産基地の海外移転による他国の国富創出」などが挙げられていた。

韓国経営者総協会のイム・ウテク安全保健本部長は「そもそも発議された法案自体に違憲の余地が多く、法の体系性にも欠ける面があった。深く論議せずに短い期間で国会を通過することになったのは遺憾だ。一部条項が修正されたが、依然として企業が耐え難い世界最高レベルの強力な法案より、今後企業活動が大きく萎縮するだろう」と警鐘を鳴らしたという。

これを受け、韓国のネット上では「命より大切なものはない。生産性を理由に人の命を軽視する韓国の大企業の倫理意識が問題。今回の法案は処罰が目的ではなく、安全管理を徹底して事故を減らそうというもの」「これまで労働者の命はハエのように扱われていた。そんな労働者を人間扱いするのがそんなに嫌?お金がもったいない?」など同法案への賛同意見が寄せられ、「メディアが同法案を無力化しようと世論をあおっているようにしか見えない」「安全は当たり前のことなのに、まるで全ての産業が駄目になるかのような記事」と指摘する声も上がっている。

一方で「ひどい法律。もうこの国での事業は畳んで、みんな海外移転すべき」「労働者のためではなく、これじゃみんなして死のうとしているようなもの」「これで中小企業の仕事が大幅に減るだろう。企業再生どころか、企業殺しの政策ばかり。こんな調子で雇用創出ができると思う?」など反対派の意見も少なくない。(翻訳・編集/松村)