英国政府は29日、香港市民とその家族に、英国市民権の取得にもつながる長期ビザを発給すると発表した。理由は、中国が中英共同宣言という条約に違反したからとした。ビザ発給の対象は英国の海外市民(BNO)権を持つ、あるいは香港特別行政区または欧州経済領域加盟国が発行するパスポートの所持者。中国報道官は「強烈に憤慨している」と表明した。

英国政府は、中国政府による2020年6月の国家安全法の施行は、香港の人権と自由を保障した中英共同宣言に明らかに違反していると指摘。そのため、BNO旅券を持つ香港市民を対象に英本国に渡航できるビザ発給を行うと説明した。英国政府は中英共同声明を、法的拘束力のある条約と主張した。

中国政府は、1997年の香港返還によって英国の権利と義務は完全に終了したとして、中英共同声明はすでに「歴史的文書」であり、役割を終えたと主張している。

英国政府によると、ビザの発給は31日に始める。このビザにより、英国に5年間滞在することができる。滞在中の就学や労働も可能だ。5年間の滞在後には定住申請を行うことができ、12カ月後には英国市民権を獲得できるという。

英国のボリス・ジョンソン首相は、英国の海外市民でもある香港市民に英国に定住するための新たな道を開いたことを「誇りに思う」などと表明した。英国のプリティ・パテル内務大臣はツイッターに、「彼らが我が偉大なる国に歓迎されて来ることを楽しみにしています」と書き込んだ。

2月23日からは、自宅でも生体認証やパスポートをスキャンするこによりビザ申請を完了できるようになる。中国政府外交部の趙立堅報道官は29日午後の記者会見で、英国の同措置に対して「中国は強烈に憤慨している。断固として反対する。1月31日から、中国はいわゆるBNO旅券とBNO身分証明を認めない。かつ、さらに進んだ措置を採用する権利を留保する」と述べた。(翻訳・編集/如月隼人)