日本政府が元徴用工、従軍慰安婦に対する賠償金を韓国政府が先に支給する「代位弁済案」を受け入れることができるという立場を韓国側に伝えた、と東亜日報が報じた。代位弁済案は「日本企業などの資産を強制的に売却しないという点で、日本が主張してきた『マジノ線』を越えない可能性がある」ともみている。

同紙によると、日韓関係に精通した外交筋は22日、「韓国外交部が最近、日本側と積極的に接触し、関係改善案を協議している」とし、「日本政府は韓国が被害者に賠償金を先に支給する『代位弁済案』を検討してみることができるという」と明らかにした。

韓国側の関係修復の動きについて、東亜日報は「日本政府内では最近、韓国政府の態度が変わった」という評価が出ている」と指摘。その背景としては「1月8日の元慰安婦女性の勝訴判決に対して外交部が『2015年12月の慰安婦合意が韓日間の公式合意』と確認したのに続き、文在寅大統領も『(慰安婦判決は)正直に言って少し困惑している』と述べた」などを挙げ、「韓国政府が関係改善に積極的に乗り出しているということだ」と強調した。

この代位弁済案は、ひとまず韓国政府が被害者に賠償金を支給することが基本骨子。韓国側は日本企業が賠償に応じれば、韓国政府が穴埋めする案を日本側に非公式に打診した経緯があるが、今回の案はこれを一歩進めた形だ。賠償のための基金をどのように、誰が参加してつくるのか、今後日本に求償権を請求することができるようにするのかなど、多様な派生案が出てくる可能性がある。

一方で記事は「日本の直接賠償を望む被害者が多いだけでなく、文政府が強調してきた被害者中心主義を実現した解決策としては不十分だという声が出ている。このため、韓国政府が日本政府にこのような方式の代位弁済案を(正式に)提示することができるかは未知数だ」とも言及。「日本の謝罪と反省をどのように引き出すかも問題だ。19年の『文喜相(当時の国会議長)案』は記憶人権財団をつくって代位弁済するという案だったが、被害者の反発で失敗に終わった」と振り返った。

元徴用工、慰安婦問題に関して日本政府は1965年の日韓請求権協定や「最終的かつ不可逆的に解決」とした15年12月の合意で「決着済み」との立場を堅持。日本側にとって受け入れ可能な解決策を示すよう韓国側に重ねて求めている。米国のバイデン政権が日韓関係の改善を促す中、東亜日報は「外交部はさまざまな可能性を追求して案を検討している」とも伝えた。(編集/日向)