米空軍の偵察機が22日、中国沿岸の防衛線にこれまでになく接近し、約47キロまで近づいた後で引き返したことを北京の研究者らが明らかにした。米誌ニューズウィークが伝えた。米軍偵察機は2020年、1000回近くにわたって南シナ海などの紛争海域に飛来。中国側は「最大限の圧力作戦を展開中」とみている。
同誌によると、北京大学のシンクタンクで中国本土周辺における米軍の活動を追跡している「南海戦略態勢感知計画(SCSPI)」はツイッターで、この米空軍の偵察機「RC-135Uコンバット・セント」は、南シナ海で活動する米軍偵察機3機のうちの1機と指摘した。
同機のルートを示す現地時間22日午前の飛行追跡データでは、台湾南部とフィリピンのルソン島を隔てるバシー海峡を一直線に飛行したことが分かっている。レーダーシステムで情報を収集するRC-135Uはその後、中国南東部の福建省から広東省にかけての海岸線に接近してから引き返した。
この飛行により、同機は中国から約47キロ内に侵入したとSCSPIは説明。公開情報に基づけば、米軍偵察機が中国の海岸線に接近した例としては「最も近接した」と表現したが、沿岸部から航空機までの距離の測定に関して、公開されている飛行追跡データがどれだけ正確なのかは不明という。
SCSPIによれば、コンバット・セントは、「AE01D5」というトランスポンダー・コードを使用していた。 ほかの2機は哨戒機「P8(ポセイドン)」と電子偵察機「EP-3」だったとしている。
RC-135Uは今年になってから、すでに何度か中国メディアに登場している。3月には「中国中央電視台(CCTV)」も、沖縄県の嘉手納空軍基地から飛び立った同機の黄海と東シナ海での偵察任務を追跡していた。
SCSPIは12日、南シナ海における20年の米海軍および米空軍の活動に関する年次報告書を公開。偵察機のほか米軍の重爆撃機と戦闘艦も中国が領有権を主張する島々の周辺で、記録的な数の任務を実施し、その過程で中国に「最大限の圧力」をかけたと非難した。
水上艦艇の出現頻度は年間およそ1000シップデイ(延べ展開日数)に達する。空では「1日当たり平均3〜5機の戦闘機を南シナ海に送り込んでおり、年間の接近回数は合計1500回を超える。これは09年と比べてほぼ2倍だ。そのほとんどは偵察機だ」とSCSPIは続けた。
ニューズウィークは「米軍が中国周辺海域で存在感を強めている背景には、中国軍が戦闘能力を強化し、日本や台湾の近海でほぼ毎日のように偵察飛行を実施している状況がある」と言及。「米国の主要同盟国も南シナ海での『航行の自由』作戦に参加している。20年にはオーストラリア海軍の戦闘艦が参加した。21年にはドイツとイギリスの戦闘艦が同海域を航行する予定になっている」とも報じた。(編集/日向)