今年、大きな話題を集めた中国の武侠ドラマ「山河令」。主役を努めたゴン・ジュン(龔俊)とチャン・ジァハン(張哲瀚)は、この作品をきっかけに一躍スターダムにのし上がった。
「山河令」のようなブロマンス作品の成功例としては、チュー・イーロン(朱一龍)とバイ・ユー(白宇)主演のサスペンスドラマ「鎮魂」(2018年)や、シャオ・ジャン(肖戦)とワン・イーボー(王一博)主演のファンタジー時代劇「陳情令」(2019年)が挙げられる。ブロマンスの要素はいまや成功のカギであり、現在撮影準備中、撮影中、放送準備中のブロマンス作品は合わせて60を超えるといわれる。
このようなドラマが大流行するなか、中国共産党直属の新聞社・光明日報は、4月7日に中国版ツイッター・ウェイボー(微博)に「ブロマンス作品の横行は、人々の美的感覚を狂わせる」という見出しで記事を掲載し、苦言を呈した。
その記事では、「日本生まれの"耽美"という言葉が、中国では男同士の恋愛もののジャンル名として使われている。これまで限られた腐女子の間で好まれてきたコンテンツが、ドラマの人気上昇とともに大衆の目に触れるようになり、従来の価値観を揺るがす事態を招いている。男性に女性的な美しさを求めることに非はないが、すべてにおいて度を越えてしまうと、美の多様性に対する弊害になりかねない」と懸念している。
共産党系メディアがこのような警鐘を鳴らした理由は、次の3つが考えられる。ドラマの中で男性2人の主人公を「友達以上」の曖昧な関係に設定したこと。ドラマの宣伝や話題作りのため、主演の2人をさまざまな番組やイベントなどにペアで起用し、カップル的な演出をしたこと。そして、ドラマのファンがSNSで二次創作を盛り上げたり、時に炎上させたりしたこと。
特筆すべき例として、ある「山河令」の熱狂的なファンが、ウェイボーで「主演2人の結婚式を主催する」という二次創作的な動画を投稿したことが挙げられる。この動画は閲覧回数が4億8000万回、コメント投稿数が8万4000件を超えるという、驚くべき結果となった。
光明日報の記事に対して、ネットでは「『山河令』の宣伝は行き過ぎている」、「『結婚式』の動画は政府のトップニュースよりも閲覧されており、異常事態と言っても過言ではない」、「次のブロマンス作品はお蔵入りになるのでは?」など、ブロマンスの行き過ぎを非難したり、心配したりする声が多数寄せられた。
その危惧が現実になったかのごとく、4月に配信が予定されていた「皓衣行」(原題)は延期になってしまった。このドラマはレオ・ロー(羅雲熙)とアーサー・チェン(陳飛宇)が主演を務めるもので、次のブロマンス作品として話題となっていた。光明日報の記事が原因かどうかは不明だが、いずれにせよドラマのPRやファンの行為が行き過ぎれば、ブロマンス作品にとってよくない影響が及ぶと考えられる。(提供/華流・anomado)