2021年6月16日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国版サイトは、G7サミット終了直後に中国軍機が台湾空域を飛行した狙いについて専門家による考察を紹介する記事を掲載した。

記事は、中国軍機28機が15日に台湾南西部の防空識別圏に進入したと紹介。軍機の中には核ミサイルを搭載可能な爆撃機も含まれていたとし、台湾国防部が「一回の台湾海峡進入行動としてはこれまでで最も多い機数」とコメントする一方、中国の国務院台湾事務弁公室は16日に「民進党が両岸関係を挑発し、台湾海峡の平和安定を破壊しようとしている。台湾独立を抑止することが必要だ」と発言したことを伝えた。

そして、G7サミットの共同宣言にて台湾海峡の平和安定の重要性が強調された直後に中国が軍機28機を台湾空域に送り込んだ背景について、複数の専門家が「米国やその同盟国に対するアピール」との見方を示したと伝えている。

オーストラリア国立大学アジア太平洋学院講師を務める宋文笛(ソン・ウエンディー)氏はドイチェ・ヴェレに対し、G7が初めて台湾海峡問題を議題に取り上げ、北大西洋条約機構(NATO)が中国を「国際秩序への挑戦」と称したことに対する中国の応答だったと分析するとともに、特に7月1日の中国共産党100周年が目前に迫るなかで習近平(シー・ジンピン)国家主席が強い姿勢を示そうとしたのだと論じた。

また、政治学が専門である台湾中山大学助理教授の陳宗岩(チェン・ゾンイエン)氏も同様の見方を示しており、菅義偉首相が先日台湾を「国」と称したこと、米台貿易交渉の再開など、米国とその同盟国が中国の「がまんの限度」を探るような動きを見せる中で、「台湾は不可分な領土」という姿勢を強調するような軍事行動を取ることで、米国などによる探りに応答したと述べている。

両氏はさらに、今後中国軍機が頻繁に台湾空域に進入することが常態化するかについて、いずれも常態化に進むとの見方を示した。(翻訳・編集/川尻)