2021年9月30日、環球時報は、中国の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加をめぐる日本の思惑について、黒龍江省社会科学院東北アジア研究所の笪志剛(ダー・ジーガン)氏による評論記事を掲載した。以下はその概要。

中国のTPP参加申請に対し、持ち回りの議長国である日本の態度はあいまいだ。直接的な反対は示していないものの政府高官が相次いで慎重な姿勢や憂慮を示しており、後から申請した台湾を大いに支持している。そこからは、米中両大国の間にある日本の、中国のTPP参加問題に対する複雑な思惑が見えてくる。

中国のTPP参加申請に対する日本の基本姿勢は「まず見て、次に待ち、それから協議」だ。すなわち、中国が国内法規を改正してTPP参加の高いハードルを乗り越える気概があるかを見て、台湾が「台湾、澎湖、金門、馬祖独立関税地域」名義でTPPに参加するのを待ち、中国の参加が受け入れざるを得ない状態になったら、TPP内部で各方面と協議して準備を整えた上で待ち受けるのだ。

また、米国のTPP復帰に対する日本の思惑は「まず見て、次に待ち、それから推進」だ。すなわち、中国のTPP参加に対する米国の態度を見極め、米国が一日も早くTPPに復帰するとともに、英国を含む欧州のパートナーを呼び込んで中国に対抗する勢力を作るのを待ち、米中関係やインド太平洋地域情勢の変化にともなって米国のTPP復帰を推進すべく、オーストラリア、カナダなどの参加国とともに米国側の要求に基づきTPP規則の変更を模索するのだ。

間もなく首相に就任する岸田文雄氏は、日本国内の保守勢力に迎合するために中国に強硬姿勢を示す確率が高い。ただ、TPP問題において日本は中国を明確に拒否する「大義名分」を持っていない。だからといって両手を広げて歓迎するわけにもいかず、参加のプロセスを引き伸ばしつつ交渉用のカードをそろえることがベストチョイスかもしれない。また、中国の参加、米国の復帰、台湾の参加という3つのオプションのうち、米国の早期復帰が第一選択になるのは間違いない。中国の参加は先延ばしにすべき選択肢、台湾の参加は駆け引きの手段といったところだろう。

来年は日中国交回復50周年の大きな節目を迎える。新内閣がTPPをめぐる対中、対米戦略を練り、対処する中で、日中関係に新たな方向性を切り開き、ソフトランディング地点を見いだせるかどうか。新たな首相の外交手腕、政治的なインテリジェンス、善意の程度が試される。(翻訳・編集/川尻)