環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に加入を申請した台湾当局は、加入の5年後には農産品の輸出額が500億台湾元(約2000億円)増加するとの試算を明らかにした。農産物でもコメ、鶏肉など関税割当制などの対象品目は生産者が打撃を受ける可能性があるとみている。

台湾・中央通信社などによると、台湾は9月23日、加盟に向け、申請手続きを行ったと正式に発表した。蔡英文総統は23日、ツイッターを日本語で更新。「石の上にも5年」とし、加盟のための準備を進めてきたことに触れた上で、「日本の友人たちにはわれわれのこの努力をぜひ支持してほしいです」と呼び掛けた。

蔡総統は「総統になってからこの水準の高い貿易協定の参加を準備してきました。われわれはすべてのルールを受け入れる用意があり、TPPに加盟したいと思っています」とも強調。これに対し、茂木敏充外相は「台湾はわが国にとって基本的価値を共有して密接な経済活動を有する、極めて重要なパートナー」と評価し、「わが国として、まず歓迎したい」と語った。

TPPをめぐっては台湾に先立ち、中国が16日に加盟申請を行ったと公表したばかり。台湾は中国に加盟申請で大きく遅れれば、加盟が困難になるとみて申請手続きを急いだ。

中国外交部の趙立堅報道官は「中国は台湾がいかなる公式な協定や組織に参加することに断固として反対する」と言明。「中国は世界に一つしかなく、台湾は中国の不可分の一部分である」と述べ、台湾がTPPへの加入を申請したことに強く反発した。

TPP加盟の効果について、台湾の国家発展委員会は国内総生産(GDP)を2%以上押し上げる経済効果がある一方で、農業の一部と自動車部品産業は影響を受けるとの試算を出した。

さらに台湾の行政院(内閣)農業委員会は最新の報告で、加入によって、エダマメやバナナ、花卉(かき)、パイナップルやマンゴーなどの果物、冷凍サバや冷凍マグロなどの水産品、茶葉などは輸出額、量ともに成長が期待できると見込んだ。一方で、コメやアズキ、干しシイタケ、鶏肉など関税割当制と特別セーフガードの対象となっている20品目は、国内生産者が打撃を受ける可能性があるとしている。

農業委によると、TPP各加盟国の農産品自由化率は平均で96.2%。日本やカナダなどは一部の農産物について関税を維持しており、自由化率は加盟国平均を下回っている。農業委の陳吉仲主任委員(閣僚)は「日本やカナダなどのやり方に従えば、台湾のセンシティビティー(配慮すべき品目)を守ることができる」と言及。それに加えて関連の措置を検討することで「必ずしや負の影響をプラスに転換できる」と自信をみせた。(編集/日向)