2021年11月25日、中国経営報は、台湾の半導体大手TSMCがサプライチェーン関連資料提出という米国政府の要求に最終的に応じた背景について考察する記事を掲載した。

記事は、TSMCの広報担当者が今月7日に、同社が米政府の求めに応じて5日にサプライチェーン関連資料3点を提出し、そのうち1点が公開されているリスト、2点が商業機密を含む非公開資料であることを明らかにする一方で、資料中に顧客の特定データは含まれておらず、顧客のプライバシーを全力で保護したことを強調したと伝えた。

その上で、米国政府が9月にTSMCやサムスンなどの半導体企業に対し45日以内に在庫、注文、販売記録など商業機密とされるデータの提出を要求したと紹介。TSMCは9月末と10月初めに機密情報の提供を拒否する姿勢を示していたものの、期限ギリギリになって一転、資料提出に踏み切ったとした。

そして、TSMCについて今年8月の市場価値が5380億米ドルで騰訊(テンセント)を抜きアジアで市場価値が最も高い企業となり、半導体委託生産市場で2位のサムスンを大きく引き離す50%超のシェアを獲得していると説明。「世界的な地位がこれほど高いTSMCは、どうして米国の言いなりになったのか」と疑問を提起した。

記事は、その答えについてアナリストや投資家、専門家の意見をまとめて紹介。TSMCの主な顧客は米国の大企業であり、例えば通信業界ではクアルコム、コンピューター分野ではAMDやインテルなど、いわば米国企業がTSMCを養っている状態と言っても過言ではない上、今年は半導体不足の中でiPhone13が発売されたり、新エネルギー自動車が急速に発展したりと、米国が業界をリードする別の分野でも需要が旺盛になっているとした。

そして、現在米国が独占排除の姿勢を強く打ち出し、サプライチェーンの見直しを進める中で「TSMCとしては米国の顔色をうかがって物事を進めざるを得ない」との見方を示した。また、専門家からは、米国は経済的な手段以外にもTSMCを縛りつける手段を持ち合わせているとの意見が出ているとし、「協力が緊密になるほど、多くの制約を受けることになるのだ」という業界アナリストのコメントを紹介している。(翻訳・編集/川尻)