新型コロナの感染拡大で中国最大の経済都市・上海などの都市封鎖(ロックダウン)が続く中、中国人民銀行(中央銀行)は25日、市中銀行から強制的に預かる外貨の預金準備率を現行の9%から8%に引き下げると発表した。実施は5月15日から。この措置について欧米メディアは「人民元安阻止に動く」などと一斉に報じた。

中国網が伝えた中央銀行のデータによると、3月末現在の外貨準備高は1兆500億ドル(約131兆2500億円)。これに基づき計算すると、外貨の預金準備率を1ポイント引き下げることで、およそ105億ドルの外貨の流動性を放出できる。

中信証券の明明チーフエコノミストは「証券日報」の取材に対して、「米連邦準備制度理事会(FRB)のさらなる利上げの予想が強まった影響で、ドルインデックスと米国債利回りが大幅に上昇した」と指摘。「外貨の預金準備率の引き下げは市場への外貨供給の拡大を促し、市場の変動を抑え、市場マインドおよび人民元レート安定の効果を発揮する」と述べた。

財信研究院の伍超明副院長は「外貨の預金準備率の引き下げは、国内金融機関の外貨貸付資金を拡大できる」と言及。「これは外貨市場のマインドの安定、人民元レートの合理的な水準での基本的な安定の促進に有利だ。これはまた中央銀行が市場に発した重要なシグナルでもある。しかも人民元レートの安定維持は、国内の金融政策の余地の拡大にも有利だ」と説明した。

伍氏はさらに「外貨の預金準備率の引き下げは安定成長にも有利だ。経済成長率の低下の圧力が大きな現状下、金融機関の外貨資金の供給拡大は実体経済の外貨資金の需要を満たし、国内経済主体の外債償還資金の需要を満たす」と語った。

ロイター通信によると、上海などの主要都市のロックダウンを受けた経済見通しの悪化、米との金利差縮小で、人民元は先週、2015年以来の大幅下落を記録。25日も1年ぶりの安値の1ドル=6.5544元で通常取引を終えていた。

外貨預金準備率の引き下げについて、三菱UFJ銀行の金融市場チーフアナナリストは「人民元が最近の急激な下落で中国の経済ファンダメンタルズから切り離された状態となり、当局が一段の下げに歯止めをかける措置を打ち出した」と解説した。

米ブルームバーグ通信も「中国が人民元の値下がり阻止に動いた」と報道。「上海に続き北京でも新型コロナの感染が拡大しており、オフショア人民元は25日の取引で一時、ドルに対し1年5カ月ぶりの安値を付けた。準備率引き下げ発表後、オフショア人民元は下げ幅を縮小した」と付け加えた。(編集/日向)