米国政府系メディアのボイス・オブ・アメリカ(中国語版)は4月30日付で、中国による対欧州大規模時代の時代は「恐らく過ぎ去った」と論じる記事を発表した。

コンサルティング会社の中国・栄鼎集団とドイツのシンクタンクであるメルカトル中国研究センターが最近になり連名で発表したリポートによると、2021年における中国から欧州への直接投資は、13年以来で最も小規模だった20年の79億ユーロに次いで低い106億ユーロだった。21年には前年を上回ったが、16年の474億ユーロと比べれば、落ち込みが目立つ。

21年に中国からの対欧州投資がやや回復した主たる要因は、中国の投資管理概査である高瓴資本が、フィリップスの家電事業を37億ドルで買収したことだった。そのような大規模な個別案件がなければ、22年に前年比で投資額が増加することは考えにくい状況だ。

中国の対欧州投資が減少している原因としてはまず、欧州側が国家の安全保障を理由に、中国資本の審査を強化していることがある。中国側の政策上の要因としては、中国政府が厳格な資本統制と、レバレッジなどの手法によるハイリスク・ハイリターン型の投資を規制していることがある。

リポートによると、中国国有企業の対欧州投資は21年、前年比で10パーセント減少して、20年ぶりの低水準になった。また、中国の対欧州投資全体に占める比率も12%にまで低下した。国有企業の投資はエネルギーとインフラ分野、地域別では南欧に集中している。

リポートはさらに、中国の対欧州投資の性質が変化していると指摘。かつては企業買収が主流だったが、現在は新規事業への投資に重点が置かれている。21年における中国の対欧州新規事業投資は33億ユーロで、中国の対外投資全体のほぼ3分の1を占めたという。同時に、中国からのベンチャーキャピタル投資が、欧州の技術系スタートアップに向けられている。21年に中国から欧州へのベンチャーキャピタル投資は12億ユーロという歴史的水準に達した。地域別では主に英国とドイツで、業務分野では電子商取引、金融工学、ゲーム、人工知能、ロボット技術などに集中しているという。

中国による対欧州投資にブレーキをかけている要因の一つが外交問題だ。中国が台湾問題を理由にリトアニアで経済分野への報復を行ったことなどで、中国と欧州の緊張関係が双方の経済関係の足かせとなる可能性が高まった。リポートは、中国とEUの包括的投資協定の交渉は、今年(2022年)も棚上げになるとの見方を示した。

また、ロシア・ウクライナ戦争も、中国の対欧州投資のブレーキになる。中国はロシアのウクライナ侵攻を非難せず、対ロシア制裁を批判している。EUを含む西側諸国は、中国のロシアへの影響力を利用して、戦争を阻止することを期待していたが、少なくとも現在に至るまでは「空振り」の状態だ。

ロシア・ウクライナ戦争によって中国と欧州はさらに距離が離れたとの指摘も出ている。西側諸国は体制が異なる中国との協力がもたらすリスクを改めて痛感し、経済における中国への依存度を減少させようとするので、双方の関係は協力よりも競争の側面が強まるとの指摘だ。

ボイス・オブ・アメリカによると、ジョンズ・ホプキンス大学外交政策研究所のダン・ハミルトン上級研究員は、「米国およびEUの経済は中国から完全に切り離されているわけではないが、米国やEUは中国との相互依存関係の条件を再定義しようとしている」と述べた。(翻訳・編集/如月隼人)