香港メディアの亜洲週刊はこのほど、林芳正外相が4月下旬に示した2022年版の外交青書を、岸田文雄首相や林外相、さらに日本としてのこれまでの言動と結びつけて分析する毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。記事は、外交青書の米国、中国、台湾、ロシアについての記述を集中して取り上げた。

記事は青書について、岸田首相が就任後初めて明らかにし外交方針であり、「知中派」と見なされる林外相が初めて主導した対外宣言でもあると指摘。また、青書は地域の安全保障環境がますます厳しく不確実になりつつある状況で、これまで国際社会の平和と繁栄を支えてきた普遍的価値と国際秩序を維持するためにも日米同盟がこれまで以上に重要と強調したと紹介した。

記事は、今回の青書が、米国が圧倒的な政治力、経済力、軍事力で世界をリードして国際社会の安定と繁栄を支えていた時代は過去のものになったとの認識を示したことにも注目した。

実際の日米関係の歩みとしては、米国でバイデン政権が2021年に発足してから、日米関係はかつてないほど強化されたと指摘。具体的な動きとしては、電話やビデオ会談を含め、日米はこれまでに8回の首脳会談、15回の外相会談、日米外相と防衛相による2プラス2の安保協議を2度も開催したと指摘。日米はあらゆる分野にわたる日米軍事統合で緊密に連携する新たな同盟を構築し、その抑止力と対応能力を強化してきたと紹介した。

さらに、日本は米国一辺倒なわけではなく、青書はインド、オーストラリア、英国、EUなど多国間協力を推進し、日本の国際外交における、新たな分野を切り開いていく考えを明らかにしたと紹介した。

記事は、青書が台湾について「日本にとって極めて重要なパートナであり貴重な友人」と論じたとも指摘。具体的な状況としては、日台住民の相互好感度はいずれも7割以上を超え、日本は計420万回分の新型コロナウイルス用ワクチンを台湾に提供したと紹介した。また、青書は中国の軍事力について、急速に強化され、中国と台湾の軍事バランスは中国側に有利になったと指摘したことにも触れ、日本は台湾海峡の平和と安定を求めるために、米国や主要7カ国、オーストラリア、韓国などとも共同声明などで姿勢を明らかにしてきたと紹介した。

また、日本の防衛方針について、「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」に変更して、攻撃対象を敵軍基地だけでなく敵軍司令部にも事実上拡大することや、5年内に防衛費を国内総生産(GDP)の2%以上に増やす動きが進んでいると紹介した。

記事は、日中の対抗的な軍事競争が、今後も変化の中で、ますます激しくなるとの見方を示した。一方で、林外相が主導して作成した青書はウクライナに侵攻したロシアを名指しで厳しく非難したが、中国については比較的慎重な表現をしており、国名を明記した「中国の脅威」のような表現は使わなかったと指摘した。(翻訳・編集/如月隼人)