「自分が凹んだ時、友達に相談をしたらちょっと気持ちが晴れるんじゃないかと思います。部屋に閉じこもっているだけではなく、同じ寮にいる友達と一緒にしゃべったり、ゲームやったり、ご飯作ったりしたらどうでしょうか?皆さんの国のことをいろいろと話し合ったらどうでしょうか?外に出られなくても、友達と一緒にいれば、絶対に嬉しい気持ちになると思います……」

私は先輩として、現在大阪大学へ交換留学に行っている学生たちにこのようなメッセージを伝えました。今のような「絶望的」とも言える時期こそ、私たちは友達とお互いに支え合って、前に進んでいくのだと思います。

2020年1月下旬、私の世界は崩れ去りました。6月に卒業する予定なのに大学に戻れず、サッカーチームのみんなと一緒に汗を流すことも、寝る前に空を眺めながらしゃべることもできなくなりました。さらに、旅行マニアである私は、卒業旅行の計画をすべてキャンセルすることになりました。まだ心の整理はできていませんが、私はなす術なく卒業することになりました。

ネット上の様々な記事を見て、より悲しくなりました。「中国人の留学生が海外で差別され、いじめられている」というような記事が非常に多く、話題にもなりました。「私はウイルスではない」と声を上げても、何が変えられるのかと、消極的な思いが心に浮かんでしまいました。

その後、中国人に対する入国規制がだんだん厳しくなり、中国と中国人を侮辱する国も現れました。私は悲しく思う一方で少し怒りも感じましたが、できることは何一つありませんでした。

しかし2月、中国の近所の友人や日本から届いた支援物資と、「山川異域、風月同天」や「豈曰無衣、与子同裳」といったメッセージは私の心を温めてくれました。そして、窓に「中国頑張れ、武漢頑張れ」との紙が貼られているお店や「差別ではなく、正しい人権意識を育もう」と主張する学校に関する記事を見て、日本のおかげで自分の悲しみと怒りは消えていき、感謝の気持ちに変わりました。

言葉の力はなんと強いのでしょう。支援物資と一緒に届いた励ましの言葉と、日本の人たちの気持ちは私たちを勇気づけ、深く私たちの心に刻まれています。その後、世界の国々から多くの支援をいただいた中国でも、苦難の中でだんだん笑顔が見られるようになってきました。

「元気?」と、外国の友達から多くのメッセージが届きました。彼らと話し、大阪大学に交換留学していた時の思い出をしゃべった私は、消極的で不愉快な感情が全部なくなりました。久しぶりに大笑いしました。

日本にいらっしゃる先生方にメールを送り、「ショウさんのメールを見て本当に嬉しかったです」と先生方から返信をいただいた時、私も非常に嬉しかったです。少しは周りの人の力になれたと思い、自分の価値も感じられました。人々は支え合いながら進んでいると実感しました。だからこそ様々な災難を乗り越えられるのではないかと、私はそう思います。

「『アリガトウ』は何度も言わせて」。日本のボーカルグループ、GReeeeN(グリーン)が歌ったように、人の命を救っている方々に、世界中の友達に、支援物資や励ましの言葉を送ってくださった日本とほかの国々に、私は何度も何度も「ありがとう」と言いたいです。

時々、私はこう思います。今回の災難を乗り越えた後、世界は良くなるのでしょうか?たぶんならないでしょう。ほかのウイルスがいつか姿を現すかもしれません。ほかの災難がいつか人々の命を奪うかもしれません。しかし、戦争も差別もなくなり、世界の国々が力を合わせ、それらの災難と一緒に戦う日が来ると私は信じます。遠い未来かもしれませんが、私はそう信じたいです。

4月のある日、「今交換留学している後輩たちを勇気づけてあげてもらえませんか」と、大阪大学で非常にお世話になった先生からメールが届きました。そして私はパソコンを立ち上げ、感謝の気持ちを込めて、このメッセージを書きました。

■執筆者:尚楚岳(北京師範大学)

※本文は、第16回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「コロナと闘った中国人たち」(段躍中編、日本僑報社、2020年)より転載・編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。