中国の経済情報サイト「20経済網」は28日、アップルの製造業務を請け負う、いわゆるサプライヤーがベトナムなどに生産拠点を設ける例が目立つとの紹介する記事を発表した。中国企業で主要7社がベトナムに生産拠点を設置したという。

中国の証券会社の天風国際証券のアナリストである郭明錤氏は最近になり、SNSを通じて「2022年下半期にベトナムで、(アップルの)AirPods Pro 2の量産が始まる」との情報を披露した。実現すれば、アップルの主要製品が中国以外の国で生産される初めてのケースという。

アップル最高経営責任者(CEO)のティム・クック氏は4月下旬の電話会議で、チップの供給不足や国際情勢の影響を受け、サプライチェーンを米国や東南アジアに展開することを検討中と表明していた。

中国大陸部に生産拠点を設けている企業のうち、台湾系企業はインドに、大陸企業はベトナムに改めて生産拠点を設置する例が多いという。大陸企業のうち、ベトナムに生産拠点を設けた主要サプライヤーは立訊精密、歌爾、裕同科技、藍思科技、領益智造、美盈森、伯恩光学の7社だ。

多くの製造業が中国から東南アジアに移動している背景には、中国国内で賃金が上昇しつつあるのに比べて、東南アジアでは今も人件費を安く抑えやすいことがあるとされる。

しかし、アップルの重要サプライヤーの1社である立訊精密は5月18日に行った業績発表会で、「一部地域では電力制限や感染症により、人流や物流、情報の流れの円滑性が失われるという、不確実性を伴う現象が発生している」と説明。そのため、サプライヤーには、大規模生産に向けた重要な『事前作業』を行う際に、より多くの地域に目を向けることが求められていると紹介した。

中国の証券会社である光大証券のまとめによれば、2018年時点ではアップルのサプライヤー上位200社のうち、150社が中国大陸部に工場を保有していた。サプライヤーが運営する工場数では全体の46.4%に相当する358カ所だった。しかし2020年には工場数は全体の42.5%の259カ所に減少した。同じ時期に東南アジアの工場数は顕著な増加傾向を示したという。

しかし、中国国内のアップル製品生産拠点がベトナムなどに「大移動」するような現象は、今のところ発生していない。多くのアナリストは、ベトナムの電子製品製造はまだ初歩的な段階にあり、生産能力の大幅な拡充は困難と考えている。現在のところ、ベトナムで行っている工程は組み立てなど付加価値が低い部分との見方だ。

ただし、立訊精密と歌爾の関係者は、いわゆる「ローエンド部分」だけを選択してベトナムに生産拠点を移しているとの見方に対して、自社の場合は違うと否定したという。

調査会社のカウンターポイントの推算によると、2021年には全アップル製品のうちインドで生産された割合は3.1%前後で、中国大陸部では95.3%だった。2022年にはインドで生産される割合が5%−7%に上昇する見通しだが、それでも残りの大部分を生産する中国大陸部の割合は圧倒的に大きい。

アップルのクックCEOは最近になり、ベトナムの首相と面会して、ベトナムにおけるサプライチェーンを拡大していく考えを示した。クックCEOは一方で、同社にとって中国におけるサプライチェーンは欠かせないと、繰り返し表明してきた。(翻訳・編集/如月隼人)