世界最大の自動車市場の中国では電気自動車(EV)化が進んで国内勢が躍進し、米国のEVメーカー・テスラすら歯が立たなくなっている、とロイター通信が報じた。記事は「世界的自動車メーカーがEVの時代に入っても中国で支配的地位を保てると考えているなら、ショックを味わうことになるかも」とも伝えた。

中国自動車工業協会(CAAM)のデータによると、今年1〜4月の新エネルギー車(NEV)販売台数は前年同期の2倍以上に増えて149万台に達した。NEVにはEVとプラグインハイブリッド車(PHV)が含まれる。ガソリン車需要の急減で中国の自動車販売全体が12%減る中で、乗用車市場全体に占めるNEVの割合は23%に拡大した。

今年のNEV販売台数を見ると、上位10社に入っている外資系メーカーは3位のテスラのみだったことが中国乗用車協会のデータで明らかになった。残りはすべてBYD(比亜迪)、上汽通用五菱汽車(ウーリン)、奇瑞汽車(チェリー)、小鵬汽車(シャオペン)など中国ブランドが占めている。首位のBYDは年初からのEV販売台数が約39万台と、テスラの中国販売の3倍だ。

ロイター通信によると、内燃機関車時代の「王」だった米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)は今、中国で急拡大するEV市場で国内メーカーに後れを取っている。VWは昨年初めに中国で「ID.」シリーズの新世代車を投入したが、8万〜10万台という昨年の販売目標を達成できなかった。今年の目標は16万〜20万台だが、4月までに売れたのは3万3300台にとどまっている。

GMとVWの内部事情に詳しい人物によると、外資系メーカーのEVに関する一番の懸念は、欧米市場を念頭にデザインされ、性能と耐久性に重点を置いていることだ。「アウトバーン(ドイツ圏の高速道路)並みのスピード?ほとんどの中国の大都市は渋滞がひどく、時速60キロ以上さえ出せない日が多いというのに」とこの人物は語った。

上海のコンサルティング会社、オートモビリティを率いるビル・ロッソ氏は「世界的ブランドは中国EV市場のシェアが20%に満たないため、早急に状況を転換する必要がある」と指摘する。ロッソ氏はクライスラーの元幹部だ。

ロッソ氏は「中国ブランドがEV競争を制しつつある」と言及。「四輪の上に乗ったスマートフォンさながらのEVを求める消費者の流れは止まらないとみられ、ハイテクネーティブではない老舗メーカーはついていくのに苦心している」と説明した。

北京の会社員ティアンナ・チェンさん(29)が18万元(約342万円)で小鵬汽車のクロスオーバー車を買った際に一番悩んだのは、BYDもしくは上海蔚来汽車(NIO)のEVにすべきかどうか、という点だった。チェンさんは「もしもガソリン車を買うのであれば、外車を考えたかもしれない。でも私が欲しかったのはEVでテスラを除くと最新のスマートテクノロジーをきちんと装備している外車ブランドはほとんど見当たらなかった」と話した。(編集/日向)