中国にとっての3隻目の航空母艦が間もなく完成するとみられている。中国軍側も「思わせぶり」な動画を公開した。

中国は、旧ソ連が建造に着手したが中途で放棄されていた空母「ワリヤーグ」を2000年までに購入し、大連で改造して2012年に「遼寧」と命名して就役させた。さらに自らの手で2隻目の空母建造を行い、2019年に「山東」と命名して就役させた。

現代の航空母艦の技術上の極めて大きな課題は、固定翼機を滑走させて発艦させる場合には陸上の飛行場のように長い距離を設定できないことだ。そのため英国や米国は蒸気カタパルトと呼ばれる装置を開発し、水蒸気の圧力を利用して航空機を押し出すように加速して発艦させる。

旧ソ連は蒸気カタパルトを実用化することができなかった。そのため「ワリヤーグ」を含めて旧ソ連が建造または建造に着手した空母は甲板前方を上方にそらせて航空機の上昇力を追加する「スキージャンプ」などと呼ばれる方法で航空機を発艦させる。しかし蒸気カタパルトと比べて、「スキージャンプ」では得られる揚力が少ないので、航空機に搭載できる燃料や武器の重量が大きな制約を受けるとの指摘がある。中国にとって2隻目の空母となった「山東」にもカタパルトは取り付けられなかった。

中国が建造中の同国3隻目の空母には、「リニアモーター」の仕組みを使って航空機を加速する電磁カタパルトが搭載されるとみられている。電磁カタパルトは米英でもまだ制式採用されていない技術だ。

中国の新空母は、上海市にある造船所で建造が進んでいる。中国で国の祝日に指定されている2022年の旧暦5月5日「端午節」に当たる6月3日に海軍に引き渡されるとの観測が出たが、引き渡されたとの公式発表はなかった。同市における新型コロナウイルス感染症の流行のため、作業に遅れが出たとの見方も出た。しかしいずれにせよ、近い将来に同空母が完成することは確実だ。

ドイツメディアのドイチェ・ベレによると、上海の海事当局は5月28日までに、「長江口長興島南岸の新船でドック出入り作業」が行われるとする公告を発表した。作業期間は5月30日と31日の2日間で、作業に参加する船舶は10隻とした。

米紙「ウォールストリート・ジャーナル」によると、米国の民間衛星画像会社マクサール・テクノロジーが5月31日に撮影した衛星画像では、その10日前まで中国が建造中の空母が据え付けられていた乾ドックから、空母や関連機材の姿が消えていたという。

中国海軍は、4月23日の海軍記念日に関連して発表した宣伝映像に、新空母の登場が近いことを思わせるシーンを加えた。同映像は中国海軍の遠洋進出をテーマとしたが、最後の部分で解放軍将校がかかってきた電話を受け「3人目か? 手配する」と答える。画面は次に、中国が運用中の空母である「遼寧」と「山東」の写真を示す。

中国海軍の張旭東大佐は2019年9月に浙江工業大学で行った講演で、中国は上海の江南造船所で空母を建造中と述べ、通常動力を採用し、排水量は7万8000トンと述べた。張大佐は同空母には電磁カタパルトを使用するとも説明した。

中国が新空母を完成させたとしても、強大な「打撃力」を持たせることはすぐにはできないとの見方もある。米ハドソン研究所のブライアン・クラーク上級研究員は、新たな空母に真の能力を発揮させるためには、新型戦闘機であるJ−20を搭載させることが必要との考えを示した。クラーク上級研究員は「実現するまでに、中国はまだ長い道のりを歩まねばならない」とも述べた。

ただしクラーク上級研究員は「3、4年後に中国の空母が大きな進歩を遂げれば、米国はこの地域で有効な作戦能力を持つ中国海軍と向き合うことになるかもしれない」と述べたという。(翻訳・編集/如月隼人)