2022年6月9日、環球時報は、日本の対中政策が重要な岐路に立っているとする中国社会科学院日本研究所の呉懐中(ウー・ホアイジョン)副所長による文章を掲載した。以下はその概要。

ロシアによるウクライナ侵攻以降、特にバイデン米大統領の訪日と4カ国安全対話(クアッド)首脳会議以降、日本による「制中戦略」が外交、経済、軍事の3大分野で段階的に進められている。この情勢は間違いなく日中両国間の対立を増大させるとともに、2017年から続いてきた関係改善ムードが打ちくじかれる可能性をはらんでいる。

ロシアとウクライナの対立を利用して、日本の保守派は危機をあおり立て自らの戦略を推し進めようとしている。特に憂慮すべきは、日本が軍備の発展路線を国家戦略にしようとしていることだ。長年にわたる民意の誘導、世論操作により、現在の日本の保守勢力に対する国内の支持はかつてないほど高まっており、今後10年で国防方針、軍事戦略、武器装備、防衛予算などの面において、高い確率で軍事的台頭を実現することだろう。

現在の日本の軍事発展とそのエネルギーは基本的にいずれも中国に向けられたものである。安倍晋三元首相を代表とする日本の保守政治勢力は、日中両国には第1次世界大戦前後の英国とドイツのように対立構造が存在することを信じて止まない。そして、混沌とした大局の中で逡巡しながらも一度方向性を決めるとこれに猪突猛進し、内部コントロールが利かなくなるという日本の民族性や思考方式もある。このため、後世に21世紀の最初の20年を振り返った際、日中関係が悲劇へと向かう「危機の20年」と解釈される可能性だってあるのだ。

そして、日本国内の政治を取り巻く2つの状況が、現在の危機を増長させている。まず、日本の政党政治の軟弱さだ。次に一部の主要な政治家が節操を失い、責任逃れをしていることだ。その象徴というべき人物が安倍元首相であり、首相在任時は実務とバランスを協調していたくせに、首相を辞めた途端に中国に対し強硬姿勢を見せ、対中関係を緊迫化させることで自らの政治的目的を達成しようとしている。

前任の政府や首脳に比べ、岸田文雄内閣の外交チームが岸田首相の所属派閥である宏池会の特徴を発揮し、対中関係をうまく扱ってくれることを願いたい。7月の参議院選挙で安定的な政権基盤を確保したら、岸田首相は対外戦略や対中外交で大局観、バランス意識を示し、日中国交正常化50周年を契機として中国との建設的で安定した関係構築に努力すべきである。(翻訳・編集/川尻)