中国の携帯電話市場は今年に入り、ずっと「厳冬」の状態が続いている。その理由として中国紙は「5G(第5世代移動通信システム)スマートフォンが市場をけん引する役割を果たしていない」と報道。コロナ禍による生活不安で消費者が買い控えしていることも挙げた。

東方新報が紹介した中国情報通信研究所のデータによると、今年第1四半期(1〜3月)の国内出荷台数は前年同期比29.2%減の6934万6000台。4月は前年同月比34.2%減の1807万9000台に落ち込んだ。うち5Gスマホは1458万5000台で全体の8割を占めたが、出荷台数は前年同月比31.9%減だった。

高価格帯のスマホを手掛ける米アップル(Apple)や中国の栄耀(Honor)は売り上げをキープしているが、低価格帯の機種が多い中国スマホ大手の小米科技(シャオミ、Xiaomi)、オッポ(OPPO)、Vivoの3社が特に打撃を受けている。

中国メディアによると、3社は出荷台数を計画より20%程度減らすと取引先に通達。中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)の趙海軍・共同CEO(最高経営責任者)は「世界のスマホメーカーの今年の生産台数は業界の事前予測より2億台減少する。そのほとんどが中国のスマホメーカーによるものだ」と話した。世界の携帯出荷台数の5分の1を占める中国市場の低迷は、国際的な影響も与える。

低迷の理由は専門家や調査機関の見解がおおむね一致している。半導体チップの不足やコロナ禍による生産・流通の停滞、スマホに「これまでになかった機能がついている」というほどのイノベーションがないこと、さらにコロナ禍による買い控えなどだ。

生産現場、機種の魅力、消費者心理それぞれにマイナス要素もある。鳴り物入りで各社が販売した折り畳み式ディスプレーのスマホもメーカー側の期待ほど売れ行きは伸びていない。ユーザーの携帯電話の買い替えサイクルは2019年では16〜18か月と短かったが、最近は31か月を超えているという

今後について、市場調査機関CINNO Reserchアナリストの劉雨実氏は「半導体不足などの状況は今後も続く。国内携帯市場は来年第1四半期まで改善されないだろう」と厳しい見方をしている。売り上げを伸ばしている栄耀のCEOも「率直に言って今年の予測を出すのは本当に難しい」と楽観視していない。  

中国では国内スマホメーカーが「自動車産業に進出する」「仮想現実(VR)・拡張現実(AR)技術を開発し、メタバース(仮想空間)業界に乗り出す」というニュースが散見されるが、まだ具体的な計画は発表されておらず、中国スマホ業界の先行きはまだ見通せない状況だ。(編集/日向)