独メディアのドイチェ・ヴェレは28日、米国のバイデン大統領が違法行業の取り締まりに関する覚書に署名したことについて、中国をターゲットにしたものと伝えた。

バイデン氏は27日、違法行業の取り締まりに関する国家安全保障の覚書に署名した。米政府高官は覚書について「米労働省、国防総省、沿岸警備隊など各機関に、強制労働や人身売買を撲滅し、安全で持続可能な海洋開発を促進するよう指示するもの」としている。

ホワイトハウスは、カナダや英国と新たな協力関係を結ぶとし、漁業に関する監視や統制を強化するとしたほか、台湾やベトナムなどと連携を強化する考えを示した。また、特定の国を標的にするものではないとしつつ、中国について「世界規模での違法漁業の主要な実施者である」と指摘しており、中国をターゲットにしたものとの解釈が有力だ。

一方、中国は自らを責任ある漁業国家だとし、違法漁業の取り締まりには国際的に協力していると主張。「2国間の合意に基づき、関連の排他的経済水域(EEZ)で漁業活動を行っている」とした。

ドイチェ・ヴェレの記事は「インド太平洋地域の国々はかねてより、中国がEEZを侵犯し、環境破壊と経済損失をもたらしていると考えてきた」とし、中国との間に南シナ海での領有権をめぐって紛争を抱えるベトナムが「中国は国連海洋法条約を含む国際法に抵触している」と主張していることを紹介した。

また、ロンドンに拠点を置くNPO「環境正義財団(Environmental Justice Foundation)」が報告書で、中国は世界最大の遠洋漁業船団を有しているが、多くの虐待の訴えが寄せられているとし、インドネシア人とガーナ人の乗組員が中国人船長から無休の労働を強いられたり、暴力や脅迫といった虐待を受けたりしているとの事例を紹介したことを伝えた。(翻訳・編集/北田)