中国ではすでに6500以上の専用5Gネットワークが構築されているとされる。さまざまな事業分野で5G利用による効率化やコストダウンが急速に進行しているわけだ。5Gについては「4Gと比べて圧倒的な高速大容量や低遅延性などが特徴。主たる機能向上はデータ通信分野」といった説明がある。ただし中国では携帯電話登場当初からの機能である通話についても、大きな進展が見られるという。

■世界最大のリチウム電池生産会社も5G利用して集中管理

中国の専用5Gネットワークの数については、1年前には1655程度だったが現在は6518にまで増えたとの調べがある。内訳はスマート工場用が1000程度、スマート鉱山用が200程度、港湾用が89、医療用が600などとされる。

世界最大のリチウム電池生産会社の寧徳時代新能科技(CATL、本社・福建省寧徳市)は、構築した5Gネットワークも世界最大級とされる。CATLはテスラ、BMW、トヨタ、ホンダなどに電池を供給しており、電気自動車用電池市場のシェアは世界の3分の1を占める。

同社の5Gネットワークでは、中国移動(チャイナ・モバイル)と華為技術(ファーウェイ)が構築したシステムが、中国の6省にある面積計500万平方メートルの工場を結び付けている。5Gネットワークが利用されている分野は集中プロセス制御、人工知能(AI)による動画ストリーミング品質検査、ビッグデータリアルタイム検査、スマート物流などだ。CATLは同様の管理と制御を、全世界の工場に迅速に導入する考えだ。

■医療や農業分野でも5G利用の事例が続々登場

中国聯通(チャイナ・ユニコム)と華為技術(ファーウェイ)が構築した5Gスマート医療ネットワークは海南省の医療事情を大きく改善した。都市部の病院に加えて小さな診療所340カ所、農村部の保健施設2693カ所を結ぶ遠隔医療システムを構築したことで、患者が医療サービスを受けるまでの時間は平均で5分の2に短縮され、医療効率は30%向上したという。

チャイナ・テレコムが試験的に実施した農業プロジェクトでは、状況分析と栽培の指導にAIを利用をすることで、イネの収穫量が5%−20%増加した。農民に増収がもたらされた上に、スマート機器が人の労働を代替することで労働効率も上昇したという。中国各地で、畜産業や果樹栽培についても同様の試みが進められている。

中国ではその他、港湾などでも5Gネットワークを利用した効率化や省人化/無人化が急速に進められている。ハード機器のメーカー、ソフトの開発業者、通信事業者、新たな技術を導入する個別の企業などが組んださまざまなチームがそれぞれ競い合っている状況だ。

■音声通信でも進展、「新通話」の用語も登場

一方で、「携帯電話」の登場時に主たる用途だった「通話」についても、新たな進展がみられる。この新世代型通話は「新通話」などと呼ばれている。チャイナ・モバイルとファーウェイはこのほど発表した「5G新通話技術白書」は、5Gを利用した新たな通話業務機能を支援するプラットフォームや端末の技術関連や展望について論じた。

5Gの利用により、まずVoNRという規格を適用しての超クリア音声通話が実現する。スマート通訳やスマート・カスタマーサービス、コンテンツ共有、遠距離支援などの機能も向上する。VoNR対応端末はビデオ通話の能力も向上するので、提供できる可視化サービスの幅も広がる。

海南 5G




同白書はプラットフォーム、端末、チップの5G新通話機能実現に向けた技術的参考と指針を提供し、各方面の産業が関連製品を共同で計画・研究開発することで5G新通話業務の発展を推進することを提案した。また、5G新通話業務を迅速に推進し、ユーザーの通話体験の向上を実現するため、端末産業チェーンの発展プロセスと同期するように新通話関連業務を段階的に普及させるべきと主張した。

5G新通話プラットフォームの重要な技術対象には基礎ネットワーク能力、メディア処理能力、運営管理能力などがあり、5G新通話端末の重要な技術対象にはVoNR端末アーキテクチャー、チップ技術、新通話アプリケーション実行環境があるという。

5Gを利用した新通話業務に対する需要が大きくなることと平行して、端末のVoNR対応能力がさらに引き上げられ、クラウド・ユーザー間、ユーザー・ユーザー間の各タイプのデータのリアルタイム相互通信の能力がさらに高まり、新たな通話の新たな相互作用サービスが実現すると見込まれている。

同白書の発表は、「新通話」についての産業のより全方位的な発展を促す意義を持つと見なされている。(翻訳・編集/如月隼人)