華為技術(ファーウェイ)の常務役員でICTインフラ業務管理委員会の主任を務める汪濤氏は18日、広東省深セン市内で開幕した華為ウィンウィン・イノベーションウイークの基調講演で、通信や情報取扱の5.5G(第5.5世代)時代に向けての取り組みに力を入れていくと表明した。

■2020年に提案始めた5.5G、求められる技術課題の解決

ファーウェイは2020年に5.5Gについての提案を発表し、今年4月には固定通信F5.5G構想を示した。F5.5Gとは、欧州電気通信規格協会が打ち出した固定ネットワークについての通信規格であるF5 Gをさらに前進させた規格だ。

汪氏は18日の講演で、「5.5G時代に全面的に踏み出す」との理念を前面に出し、今後5年から10年をかけて通信事業者や業界パートナーと提携することで業界全体の進化やイノベーションの方向性を模索していくと述べた。

汪氏は、社会のデジタル化について、時代の要請はますます加速していると指摘した。例えば仮想現実空間とのリアルタイムの結びつきや、遠隔の地にあってもその場にいるような体験へのニーズだ。そのために、10Gbpsの速度のネットワークがさらに普及していくことになる。

産業界ではデジタル化が極めて急速に進行しており、人工知能(AI)も生産プロセスに全面的に利用されることになる。5.5Gを利用したIoT(モノのインターネット)市場は急速に拡大し、より複雑な状況における人とロボットの協業など、生産の現場から寄せられる要求は、レベルが一段と高くなる。

ファーウェイのようにデジタル技術を提供する側としては、乗り越えねばならないいくつかの「峠」がある。コンピューティング能力の向上のためには「容量の壁」、「データセンターの資源利用率の不均衡」、「エネルギー効率の問題」などを解決せねばならないからだ。

■「全面的5.5G時代」では、何が実現されるべきなのか

汪氏は「全面的5.5G時代」では、何が実現されるべきかを具体的に示した。まず、ユーザーには10Gbpsの通信速度の利用体験がもたらされねばならない。5.5Gは、より広いスペクトルやより高いスペクトル効率、さらに送受信のアンテナについては、より高度なMIMO技術で実現される。また固定通信ネットワークのF5.5Gについても、さまざまな次世代技術の導入が必要だ。

また、産業界ではデジタル技術による接続が、人の知覚により直接に関係する。ワイヤレス感知、光ファイバー感知技術の自動車と道路の「共同作業」、環境モニタリングなどが普及していくことになる。また、IoTを普遍的にするためには、IoTを作動するための電源を必要としないパッシブIoTの技術水準を高めねばならない。

5.5G時代を実現させるためには、有効計算能力を現状の10倍程度まで高めねばならないとの見積もりもある。そのため、新たなチップの開発や新たな方式のインターネットモデル、さらには計算構造の再定義も必要になるという。また、データーの保存についてもストレージの性能を10倍にせねばならない。

AIに対する要求も格段に引き上げられる。そのためにはアルゴリズムの圧縮も欠かせない。電気通信については、未知の故障原因を検出するための大規模AIが求められる。

■忘れてならない環境負荷の軽減

IT技術とはそもそも、効率向上に直結するものだ。言い方を変えれば、無駄をなくしていく技術の側面が強い。そのためIT技術を応用して省エネルギーや省資源を実現させることが可能だ。しかしIT技術は必然的に電力消費を伴う。そのため、現状をさらに発展させて5.5G時代を迎えるには、環境への負荷を可能な限り軽減する「グリーン開発」が必要だ。

5.5G時代とは、これらの分野を総合的に実現させてこそ、到来させることができる。そのためには、方向性をしっかりと定めることや、新たな標準の制定を進めねばならない。汪氏は、5.5G時代をもたらすためには、全業界が力を合わせて協力することが必要と呼び掛けた。

汪濤氏が基調講演を行った華為ウィンウィン・イノベーションウイークの出席者は全世界の通信業者や影響力ある業界関係者、オピニオンリーダーなどで、21日まで開催される。(翻訳・編集/如月隼人)