香港誌・亜洲週刊はこのほど、日本の防衛省が22日の閣議に提出した令和4年(2022年)の防衛白書を論評する毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。以下は、同記事の主要部分の要約だ。

■ウクライナ情勢の論述に1章を設けたのは中国と台湾の問題を強調するため

今年版の日本の防衛白書は、ロシアのウクライナ侵攻を論述するために新たな章を設けた。強調したのは「ロシアが力で一方的に現状を変更した。アジアを含む国際秩序の基盤全体を揺るがした」であり、記述の背後にある根本的な目的は「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と宣伝することだ。白書はまた、近年になり中国はロシアとの協力を深めており、中ロ両国の海軍艦艇や戦闘機が共同で日本周辺を航行あるいは飛行していると紹介した。

注目すべきは、今年版の日本の防衛白書が昨年版の2倍以上の分量の10ページにわたって台湾海峡問題を論じたことだ。白書は、台湾は日本の重要なパートナーであり友人であると強調した。台湾は日本の最西端の与那国島から100キロ程度しか離れておらず、しかも日本にとって最も重要な海上航路に面している。白書の記述は、故安倍晋三元首相が台湾海峡有事は日本の有事であると主張したことを踏襲し、日本が今後、台湾海峡有事に深く介入する伏線を張ったと言える。

白書はさらに、中国と台湾の主力戦車や主力戦闘機の数量を比較し、中国側が軍事面で圧倒的な優位を獲得したと強調した。また、中国人民解放軍が電子戦やサイバー攻撃などを組み合わせて総合的な上陸作戦を展開する可能性も排除できないと論じた。

岸信夫防衛相は、中国は台湾統一のために武力行使の用意があると発言している。防衛白書では日本が引き続き日米同盟を強化するとともに、オーストラリア、イギリス、フランスなど友好国との協力を強化し、台湾海峡情勢を緊張感をもって注視していく考えを示した。また、強固な日米同盟を中核として、日米印豪などインド太平洋準同盟を積極的に拡大するとともに、欧州やベトナム、フィリピンなど東南アジア諸国と連携して、「友達の輪」を広げることで脅威に対する対応力を強化していく考えを示した。

■中国による「一方的現状変更」を阻止するためには軍事費が必要と主張

防衛白書はまた、中国は尖閣諸島周辺で、「力」を背景とする一方的な現状変更を執拗(しつよう)に試み続け、それを既成事実化する動きを加速していると主張した。白書はまた、中国は電子戦、サイバー戦、極超高音速ミサイルの研究開発などの面で力を強化するだけでなく、軍民融合をより十分に利用し、AIを中心とするスマート戦の発展を積極的に推進していると記述した。白書は、日本は軍事費を急増させ、官民を挙げて中国に急追し、高度先端科学技術や人工知能などの技術の新たな軍事分野への投入を強化して弱点を補い、未来の新たな形態の戦争モデルの転換に適応する必要があると強調した。

2022年版の日本の防衛白書が発した最も重要なシグナルは、日本は敵基地に対する反撃能力を保有しなければならず、防衛軍事費を増やす必要があると提唱したことだ。白書は、日本の周辺国が極超高音速ミサイルや軌道変更ミサイルなどの開発を加速しており、日本の伝統的なミサイル防衛システムはすでにこのように急速に変換・進化するミサイル防衛能力に対応できなくなっていると主張した。

■「対敵基地反撃能力」獲得への布石、日米は対中偵察活動を強化

白書は、新たな反撃能力を確立し、軍事抑止力と対応力を強化する必要がある主張した。この記述は日本が2022年内に改正予定の「国家安全保障戦略」と「防衛計画の大綱」など重要な三つの文書に、対敵基地反撃能力と防衛軍事費の増額を盛り込むための事実上の布石だ。

白書は、力による現状変更を阻止するためには、鍵となる抑止力が不可欠と論じた。そして日米は最近、大規模な合同軍事演習を盛んに繰り返している。7月になってからも3回の合同軍事演習をそれぞれ日本海、太平洋、東シナ海で実施した。

また、自衛隊と在日米軍は、無人偵察機の配備を増加させている。米軍岩国基地には7月12日に米海軍が保有する無人偵察機のMQ−4Cトライトンが飛来した。5カ月間の暫定配備で中国艦船の活動情報を収集すると見られている。また、海上自衛隊の鹿屋航空基地には偵察機のMQ-9リーパーが8機配備される予定だ。航空自衛隊三沢基地では3月に、偵察機RQ-4グローバルホークが1機配備された。三沢基地にはグローバルホークが3機配備される予定だ。(翻訳・編集/如月隼人)