2022年8月1日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、米国政府が中国産半導体に対する新たな規制措置を検討していると報じた。

記事は、英ロイターの報道として、米バイデン政権が中国の半導体企業である長江存儲技術有限公司(YMTC)など中国のメモリチップメーカーに対する米国産半導体製造設備の輸出を制限する措置を検討しているという消息筋の情報を紹介。実際に措置が講じられれば、中国に二つの大型工場を持つサムスンや、インテルが中国に持っていたNANDフラッシュメモリ製造業務の買収を進めるSKハイニックスの韓国大手半導体企業にも損失が出る可能性があると伝えた。

また、輸出規制に詳しい専門家の話として、今回検討中の措置は米国にとって初めてとなる中国の非軍事用途の半導体を対象とした輸出規制となり、その目的はウエスタンデジタルやマイクロンテクノロジといった米半導体企業を保護することだと説明。ターゲットは128層を超えるNANDチップの製造設備の対中輸出だとみられ、NANDチップはスマートフォンやパソコンなどのデバイスや、アマゾン、フェイスブック、グーグルなどのデータセンターで利用されているとした。

一方で、現段階では検討を初めたばかりであり議案の起草も行われていないと伝え、この件について輸出規制を担当する米商務省報道官が明言を避けつつも「バイデン政権は(中国)による先進的な半導体製造を削ぎ、自国の重大な安全リスクに対処することに注力している」と語ったことを伝えた。

記事は、規制の対象として取り沙汰されているYMTCについて、湖北省武漢市に本社を構えるNANDフラッシュメモリの新興勢力であり、20年4月13日には単体の容量が1.33テラバイトを誇る128層のQLC 3D NANDフラッシュメモリの開発に成功したと紹介。米ホワイトハウスが21年6月に出した報告書では、中国政府がYMTCに対して約240億米ドルの補助金を支給しており、同社の成長と低価格製品がウエスタンデジタルやマイクロンテクノロジにとって直接的な脅威になると記述されたとした。

フランスの半導体コンサル機関Yole Intelligenceの専門家によれば、YMTCは現在世界のNANDフラッシュメモリ市場で約5%のシェアを獲得、1年前に比べてシェアを倍増させており、ウエスタンデジタルの13%、マイクロテクノロジの11%に迫りつつあるという。(翻訳・編集/川尻)