独国際放送ドイチェ・ヴェレは29日、中国で反日感情が高まっている現状に関する専門家の見解を伝えた。

記事はまず、「中国の軍事的な行動が周辺国の深い懸念を呼ぶ中、中国内のナショナリズムも高まりを見せている。最近、反日感情が関係した事件が連続して発生し、ネット上で論争になった」と説明した。

そして、その「事件」の一つとして、蘇州市の街中で日本アニメのコスプレとして浴衣を着て撮影していた女性が警察官に高圧的な取り締まりを受けた事例を紹介。警察官は女性に「あなたは中国人か!」などと声を荒らげ、「挑発行為」の名目で女性を連行した。女性は後に、撮影した写真が削除されたことや、コスプレ衣装が没収されたこと、反省文を書くよう求められたことなどをSNSで明かした。

騒動をめぐっては警察官の過剰な取り締まりを疑問視する声も多く、ネット上では「和服を着たことで捕まるなんてことが蘇州で起きるなんて思わなかった。蘇州全体の恥」「いったい誰を挑発しているのか。それならまず街中の日本料理店をすべて閉鎖したらどうか」といった意見も書き込まれた。中国紙・環球時報の元編集長・胡錫進(フー・シージン)氏も「周囲への配慮が必要」としながらも、「取り締まりには法的根拠はない」「和服の着用を禁止すべきではない」などと述べていた。

記事は「この警察官(の取り締まり)が中国の公式な立場を反映しているかは不明だが、今回の過剰な権力行使による処分は受けていないようだ」と指摘。ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国研究員である王亜秋(ワン・ヤーチウ)氏が「体制内の人員の忠誠心を確保するため、当局はこうした違反者を保護しようとする。中国政府が体制を保持するための方法の一つだ」との見方を示したことを伝えた。

もう一つの「事件」は、日本風を全面に押し出して成功した中国の雑貨チェーン・名創優品が今月18日に「脱日本化」を宣言したことだ。同社をめぐっては、スペイン支社がチャイナドレスを着た人形を「日本の芸妓(げいぎ)」と誤って紹介したことや、一部店舗内で中国語の曲をかけることが禁止されていたことなどがきっかけとなり、批判の的になっていた。

記事は、「この二つの事件については、中国が数十年にわたって抱えてきた反日感情を反映しているとの見方がある」と説明。カナダ・トロント大学言語学部の郭婷(グオ・ティン)助教授が「二つの件は新しいことではない。私たちは過去にもたびたび中国で反日感情が盛り上がるのを見てきた」と述べたことを伝えた。

また、「中国の外国人への嫌悪が高まるタイミングは、中国政府の何らかの政治的な必要性を反映している可能性があるとの見方もある」と説明。米国で活動する人権派の弁護士・滕彪(テン・ビャオ)氏が「中国政府が日本への嫌悪感を外部にアピールするためのシンボルが必要な時、政府はそうした感情をあおる。いずれのタイミングも厳選されている」「政治的矛盾や民衆の注意をそらすために反日感情を必要とすることもある」と述べたことを紹介した。

滕氏はまた、「人々が街でどんな服を着るかは政府とは全く関係がなく、そこにまで口を出すのは極度の権威主義体制だ。これは確かに人々の反感を招くだろうが、中国の人口から見ると圧倒的多数の人はそういう考えに至らない。熱狂的な愛国主義と反日感情の方がより強いのだ」と述べた。

王氏は「多くの人はネット上のインフルエンサーや愛国者に攻撃されることを恐れて声を潜めている。愛国的でないことを言えば集団で攻撃される。民族主義のいわゆる萎縮効果だ」と指摘。郭氏は「こうした雰囲気は、何ができて何ができないのかを(中国)国民に認知させている。これが、中国が民族主義を貫いてきたことの副次的な結果だ」と分析した。(翻訳・編集/北田)