2022年9月13日、中国メディアの第一財経は、現在の半導体不足の現状について、半導体メーカーの関係者の見解も交えて分析する記事を公開した。

記事は初めに、現時点での半導体不足の内情について「2020年の新型コロナウイルス感染症の流行以来、半導体チップのサプライチェーンは大きな打撃を受けた上に、『インダストリー4.0』への対応で特に車載半導体の需要が大幅に増加したことで、半導体不足が自動車産業の発展を制限する一因にもなっている」「日本の電力用半導体の大手メーカーであるローム(Rohm)株式会社が10月1日から製品価格の10%値上げを決定したほか、オランダのNXPセミコンダクターズも半導体チップを値上げすると公表するなど、半導体メーカーが相次いで値上げを決定している。その一方でパソコンやスマホなど、家電向けの半導体需要は弱まっており、台湾のメディアテックが5Gチップの提供を30〜35%カットしたほか、クアルコムがSnapdragon 8シリーズの生産を10〜15%下方修正した」「中国の市場調査機関の集邦諮詢によると、メーカー側の値上げにより、第3四半期のDRAMチップの価格は10%以上変動したという」と説明した。

記事は続いて、半導体メーカー2社の会長の見解を紹介した。蘇州納芯微電子(Suzhou NOVOSENSE Microelectronics)の王升楊(ワン・ションヤン)会長は第一財経の取材に対し、「ここまで大規模な半導体不足になるとは思ってもみなかった。こうなった原因は三つの要素が関わっている。一つ目はチップの産業リンケージが過去2年の間に12インチから8インチウェハ―へと切り替わったことで生産能力が不足しやすい構造になってしまったこと。二つ目は不確定要素である地域紛争や疫病の流行の繰り返しにより、業界全体が打撃を受けたこと。三つ目が最も重要で、事前の想定以上に電動化とスマート化が進む中で、車載半導体への需要が大幅に増加してしまったこと」「電気自動車に必要な半導体の搭載量は、これまでの自動車と比較して8〜10倍になると予想される」「現在不足しているのは、高耐圧BCDと電力用半導体素子だ」「特に自動車向けのハイエンドなチップボードは、基本的に国内メーカーでは見つからないが、ここ2年で中国国内の企業が国産のチップ開発に積極的に取り組んでいる」「今まで主にパソコンやスマホなど家電向けの半導体製品を生産してきた中国のメーカーにとって、車載半導体に要求される品質は比べようがないほど高いため、信頼できる車載半導体の製品を研究、開発、量産に至る体制を構築するには、まだかなり時間がかかるだろう」と回答した。

「芯馳科技(Semidrive Semiconductor)」の張強(ジャン・チアン)会長は、「2020年8月ごろから始まった車載半導体の不足は、今のところゆっくり解消に向かいつつある」「MCUや電源IC、インタフェースチップは依然として不足しているが、SoCチップはなんとか供給できる状態」「全体的に見ると、車載半導体の中で不足を繰り返している」と回答した。

自動車市場の調査機関であるオートフォーキャスト・ソリューションズ(AFS)が公表したデータによると、今年の9月4日までの時点で、全世界の半導体不足による自動車の減産台数は累計315万6100台に上り、今年末までに減産量は399万5100台に達すると予想される。また、半導体不足の自動車業界に対する影響は最短でも来年いっぱいまで続くと予想されるという。

記事は最後に、中国国内の約41万6000社の半導体チップ関連企業のうち、22年1月から7月までに創業した企業が6万8000社(26.8%)存在することや、21年時点で500億ドル(約7兆2000億円)以上だった全世界の車載半導体の市場規模が、27年には1000億ドル(約14兆4000億円)にまで拡大し、そのうちの3割を中国市場が占めることに言及し、「半導体不足の中で、国産チップの市場はブルーオーシャン」「市場の巨大さに比べて、車載半導体の自給率は5%以下で、ローエンドの製品が中心であるなど、国外に頼っている中国国内の半導体産業はあまりにも弱い」「国産チップの開発、量産化の成功を含む自動車産業の改革により、中国はサプライチェーンの中でも重要な中心地となるだろう」と述べた。(翻訳・編集/原邦之)