中国の厳格な「ゼロコロナ」政策が全土で混乱や窮状に拍車を掛けていると、米CNNが伝えた。11月初めには中国当局が規制緩和に踏み切るのではとの観測が流れ、中国株が急騰する場面もあったが、当局は感染を速やかに封じ込めるため、「ゼロコロナ政策」を堅持すべきとの見解を改めて示した。

新型コロナをめぐる中国の対応について、CNNは「世界がコロナ禍から離れ始める中でも、依然として多くの地域でロックダウン(都市封鎖)や強制隔離、絶え間ない集団検査、移動制限などが続き、経済活動や日常生活をマヒさせている」と指摘。「共産党の指導部刷新を前に、一部にはコロナ規制の緩和を期待する声もあった。しかし、習近平国家主席のゼロコロナ政策が支持されたことで当局は一層規制を強めている」とした。

混乱などの具体例としては「青海省西寧市で新たなロックダウンに苦しむ住民が必死の思いで食料を要求した。チベット自治区の中心都市ラサの街頭では70日以上続く外出禁止令に対する抗議運動が行われた」と報道。中国最大のiPhone(アイフォーン)製造工場がある河南省でも新型コロナの集団感染が発生し、封鎖された富士康科技集団(フォックスコン)の工場から出稼ぎ労働者が集団で脱出した」と付け加えた。

さらに、「10月31日、河北省保定市で刃物を振りかざした男性が車でコロナ検問所を突破した。息子のために粉ミルクを買おうとした父親の必死の行動だった」と紹介。「この現場をとらえた映像が出回り、その後男性が逮捕されたことでネット上では憤りの声が噴出。地元警察は怒りを鎮めようと翌日、男性は100元(約2000円)の罰金だけで済み、子どもの『粉ミルク問題は適切に解決された』と発表した」と報じた。

11月1日には甘粛省蘭州市では3歳児が死亡したことをめぐり、新たな憤りの声が巻き起こった。家族はロックダウン措置のために救急対応が遅れたと主張。警察はその後、当局が到着した時には子どもの呼吸が停止していたと説明したが、救急車の到着が遅れたという家族の訴えには対応しなかった。

ゼロコロナ脱却を阻むもう一つの障壁に関して、CNNは「中国政府が厳格なコロナ対策を正当化する目的で国民に植え付けたウイルスに対する恐怖心が根強いことだ」との専門家の見方に言及。香港大学のジン・ドンヤン氏は「当局はコロナの重大性や死亡率を誇張し、長期的な症状を吹聴している。普通の人たちの多くは今もこのウイルスを非常に恐れ、コロナから回復した患者はひどい差別や偏見に苦しんでいる」と解説した。

同氏によると、フォックスコンの工場から数千人の出稼ぎ労働者がパニックに陥って集団で脱出したのも、そうした恐怖が一因だったという。(編集/日向)