華為技術(ファーウェイ)は11日午後、広東省東莞市内でデータセンターに関連する新戦略および新製品2種を発表した。中国政府による温室効果ガス排出削減を目指す政策強化を「チャンス」と認識し、協業パートナーとの関係強化および協業パートナーの利益獲得を重視する。発表した新製品はデータセンター向けの次世代型の智能微模塊6.0(スマートマイクロモジュール)とリチウム電池による無停電電源装置(UPS)のUPS-2000Hだ。

中国の習近平国家主席は2020年、中国は30年までに二酸化炭素排出量を減少に転じさせ(カーボンピークアウト)、60年までに排出量を差し引きゼロ(カーボンニュートラル)にすることを目指すと、世界に向けて宣言した。いわゆる「ダブルカーボン」だ。中国ではその後、各種産業など分野別の状況分析と目標実現のための具体策が次々に提起されることになった。

中国信息通信研究院(中国情報通信研究院)によれば、中国におけるデータセンターの消費電力量は17年から20年までに、年平均28%の割合で増加した。対策を施さねば、30年までに年間消費電力量は3800億キロワット時を越え、炭素排出量は2億トンを超える。一方で、中国の「第14次五カ年計画デジタル経済発展計画」では、25年までにデジタル経済の中核産業の付加価値がGDPに占める割合を10%にする目標が定められている。データセンター分野を含め中国のデジタル関連産業には、温室効果ガスの排出の削減と高度成長を両立させることが求められている

中国政府・工業情報化部(省)は21年7月21日付で発表した「新型データセンター発展3カ年行動計画(21-23年)」で、データセンターの電力利用効率(PUE)について、21年末までに新設された大型データセンターのPUEを1.35以下に引き下げると同時に、老朽化して小規模なデータセンターを改造し、資源使用効率を重点的に引き上げる指針を打ち出した。中国のデータセンターのほとんどは、PUEが1.6−2.0と効率が悪く、データセンターの60%は既存の建築物を改造したものなので、構造が複雑で管理が困難とされる。また、外部からの電力供給の不安定さが故障率の上昇につながっているという。

ファーウェイは、データセンター関連で巨大な需要が創出されるとして、エネルギー効率などに関連する国策の強化は、新しく優秀な製品に対する需要が高まるビジネスチャンスと認識した。

データセンターのインフラ構築関連を扱う業者の多くはUPSの取扱業者として起業したという。その後も「箱の運び屋」に終始してきた業者も多く、成長のチャンスは限られてきた。ファーウェイは一方で、それらの業者の多くは時間をかけて顧客を開拓し、顧客の現状や顧客が必要とするものを熟知している点が強みと認識した。

そのため、ファーウェイはデータセンターと取り引きする業者にも十分に利益が行きわたる「共栄」の道を推進することにした。ファーウェイの一員としてデータセンター関連のビジネスを手掛けるファーウェイデータセンターエネルギーは、かつては売り上げの65%がデータセンターに対する直接販売だった。しかしファーウェイは今回、他の業者を通しての売上高を、全体の70%にまで引き上げる方針を示した。そのことにより、データセンター関連のビジネスに健全な「生態系」を出現させることを目指すという。そして業者によりデータセンター関連のビジネスの内実を「箱の運び屋」から、「サービスの提供者」に変革していく。

ファーウェイのデータセンター関連の事業が急成長し始めたのは、おおむね10年前だ。関係責任者である費珍福氏(写真)によれば、「以前はマイクロモジュールとモジュラー型のUPSで、先行者としての優位性を発揮でき、市場で全戦全勝の状態だった。しかし過去2年間でライバルに徐々に追いつかれてきた」という。ファーウェイの優位性がもはや顕著とは言えない状況が出現し、データセンター向け製品を扱う業者からも、そういった声が聞こえるようになったという。

華為 費さん




そのため、ファーウェイがデータセンター向けに開発した新製品が次世代の智能微模塊6.0(スマートマイクロモジュール6.0)だ。最大の特徴は「究極のPUE」で、中国情報通信研究院など権威ある機関の北京地区を対象にした測定により、PUEが年平均で1.111であることが確認されたという。

ファーウェイによると、同社機器がPUEを低減できた大きな鍵になったのは冷却の効率化だ。データセンターの冷却には「機器からの熱放出がきわめて少なく、冷却の必要は特にない」「自然大気との単純な熱交換だけで十分に冷却できる」「熱放出が大きく、冷却装置の稼働が必要」など、各種の状況が存在する。データセンター内の機器からの熱放出だけでなく、外気温にも関係する作業で、従来は手動による調整がほとんどだった。その結果、データセンターの負荷や環境は絶えず変化しているために、どうしても無駄が多くなった。ファーウェイは同問題の解決のためにビッグデータの利用とAIを組み合わせて、データセンターが「節電の技」を自ら学習し、電力効率を自動的に最適化することを可能にしたという。

さらに、エネルギー消費で問題が大きいとされる中小のデータセンターについて、65平方メートル未満のスペースにも新しい機器を配置できるようにした。技術上の特に重要な要因は、一体化型UPSとリチウム電池の導入だったという。

また、ファーウェイが力を入れてきた各種機器のモジュール化も奏功し、従来は1カ月程度が必要だったデータセンターの立ち上げ作業は、わずか7日間で完了できるようになった。

また中小のデータセンターにとって大きな困難を伴った施設の管理維持だが、クラウドを利用した遠隔管理で、現場での巡回点検や故障個所の特定などを不要にすることができた。

また今回発表したUPS-2000Hは、従来型UPSの、品質が不ぞろいで低効率、さらに管理が難しかった問題点を解消した。設置も簡単で、オンライン管理が可能なのでデータセンター現場の無人化に貢献できる。また信頼性が高く、10年間の寿命を持つ。さらに高密度精密設計で設置場所を従来タイプの製品と比べて65%節約できる。エネルギー効率では一般的なUPSの94%を2ポイント上回る96%を実現した。

ファーウェイは卓越した技術と思想を盛り込んだ製品を供給することで、自社製品を扱うデータセンターを顧客とする業者にも利益拡大のチャンスをもたらしていく考えだ。(翻訳・編集/如月隼人)