中国政府は11日、新型コロナウイルス感染症対策の一部を変更する「20の措置」を発表した。同措置は、入国時や感染者に濃厚接触した場合の集中隔離期間を従来の7日間から5日間に短縮するなど、これでの規制を一部で緩和するものだった。

一方で、中国の指導者である習近平氏は、11日に行われた中国共産党中央政治局常務委員会会議で、「動態的ゼロコロナ」を断固として貫徹すると発言した。「動態的ゼロコロナ」とは、感染者をゼロにすることを目指すのではなく、感染者が発生した場合には地域を閉鎖するなど強硬な措置を適用し、該当地域の外に感染を拡大させないと同時に、閉鎖された地域内でも感染拡大を徹底的に阻止して、「感染ゼロ」の状態に迅速に復帰させる方法を意味する。

米メディアのブルームバーグがエコノミスト23人を対象に実施したアンケート調査では回答者の半数近くが、中国が「ゼロコロナ」対策を終了させる可能性があるのは2023年第2四半期(4−6月)との見方を示した。3月には北京市内で全国人民代表大会と中国人民政治協商会議という重要な政治イベントがあるので、両会が終了するまでは、「ゼロコロナ」対策を継続するとの判断だ。他の7人は、「ゼロコロナ」終了は7−9月になるとの見方を示し、2人は24年のある時期までは、「ゼロコロナ」に変更はないとの見方を示した。

ブルームバーグの首席エコノミストであるチャン・スー氏は、中国がウイルスとの共生を容認する「ウィズ・コロナ」策に切り替えた場合、大量の需要が発生し、政策切り替えの翌年の国内総生産(GDP)を1.6ポイント引き上げるとの見方をした。中でも交通、宿泊、小売業の伸びが大きいという。また、23年の下半期に「ゼロコロナ」が撤廃されれば、23年の経済成長率は3.5%で、24年には5.7%に達する。

ただしスー氏は、「ゼロコロナ」政策を終了させても、中国経済は不動産の低迷と外需の弱さという問題に直面し続けると指摘した。

一方で、ブルームバーグは、中国が「ウィズ・コロナ」に踏み切った場合、大量の感染者や死者の発声という大きな波に直面する可能性があると指摘した。台湾やオーストラリア、ニュージーランドなど、ワクチン接種率が高く、以前に深刻な感染拡大にさらされた経緯があるために免疫を持つ人が比較的多いと考えられる国や地域でも、規制が緩和されてからしばらくの間は、感染の拡大と死者数の急増という現象が発生したからだ。

中国の場合、上記の地域と比べれば、免疫を獲得した人は少ないと考えられている。ある試算によれば、中国が「ウィズ・コロナ」に踏み切れば、先進国の中でも感染した場合の死亡率が低いシンガポールと同等の死亡率としても40万人が死亡し、死亡率が高いオーストラリアと同じ水準の場合には、80万人以上が死亡することになるという。

いずれにしろ、死者が大量に発生すれば国民の間で動揺が広がる可能性があり、政府側が「ウィズ・コロナ」策を一時撤回する可能性は残る。また、中国国内の観光や民間消費、ビジネス活動が軌道に戻るまでに予想以上に時間がかかる可能性も出てくる。

中国は11日に、新型コロナウイルス感染症対策としての規制を一部緩和したが、中国国内で状況が「楽観視」できるようになった状態を反映したものではない。その逆に感染者は増加傾向を見せている。中国政府・衛生健康委員会は12日、前日の11日における24時間内に報告された新規感染者は、1万1773人で、うち無症状者1万351人だったと発表した。

感染者の増加が目立つ広東省広州市では、11日に報告された感染者数は3775人で、前日10日の3030人よりも増えた。広州市内では一部地区で、封鎖措置などが行われており、住民は週末に外出しないように呼び掛けられた。しかし同市衛生健康委員会の張屹副主任は11日の記者会見で、広州市も国が打ち出した「20の措置」に基づき、入国者の隔離期間を調整するなどの措置を導入すると述べた。

個別の地域で感染者発生のために移動の規制などが行われると、影響は他の地域にも波及する。広州市で感染が拡大して以来、たまたま同市に滞在していた北京市住民の帰京がきわめて困難になっているという。ネットでは「曲線回家(曲線帰宅)」が話題になっている。広州市に出張で出かけていた北京市住民が、感染症発生のために北京に戻れなくなった。そのためいったん韓国に行き、そこから北京に戻って来た。すると「海外からの入国者」の扱いになり、定められた隔離期間を過ごせばよくなったという。(翻訳・編集/如月隼人)