台湾の政府系研究機関の国家中山科学研究院(中科院)は15日、独自に開発した戦術用無人ヘリコプターをメディアに公開した。中国軍は台湾海峡だけでなく、台湾東部海域でも活動を活発化。無人ヘリは将来的に台湾近海や沿海部の偵察・監視任務などに投入される。

台湾・中央通信社(CNA)によると、中科院が開発した無人ヘリは物資の搭載能力に優れ、滞空時間も長く、定点で長時間の監視ができるほか、風速10.8〜13.8メートルの強い風にも耐えられる。自動での離着陸、飛行や映像の撮影、転送機能も有するという。

中科院航空研究所の斉立平所長は行動半径30キロ、飛行可能時間が約1時間とし、「軍の目視外偵察力などを高められる」と語った。陸軍司令部は7億7998万台湾元(約35億1000万円)を投じ、同院から戦術用無人ヘリ50セットを購入する予定だ。

無人ヘリが公開された会場には同じく中科院が開発した大型無人機の「騰雲」も展示された。長距離での偵察・監視能力があり、行動半径は1100キロ、飛行可能時間も20時間程度で来年以降、空軍の需要に応じて量産を始める予定だという。

斉所長は「部品を提供しているメーカーはすべて調査を行い、中国資本が関わっておらず、中国と大量の取引を行っていないことが証明されている」と説明。中国製の部品が混入することはないと述べた。

一方、中国軍の動向について、CNAは「8月にペロシ米下院議長が台湾を訪問して以降、中国の台湾への軍事的威嚇が続いており、台湾の東部海域でも中国の軍艦が頻繁に航行している」と報じた。

海軍司令部は中国軍の活動に対し、軍は適切に対処していると強調。国防部(国防省)が設立したシンクタンク「国防安全研究院」に所属する研究員の蘇紫雲氏は、中国の狙いは現状を一方的に変えることで「ニューノーマル(新常態)」を確立することにあると指摘し、似たような状況は米中間や米露間、日中間でもよく見られるとした。

その上で、軍は台湾周辺の軍事動向を日々公表することで、市民に地域情勢の把握を促していると言及。長い時間をかけて危機意識が醸成されるはずだとの見解を示した。(編集/日向)