独ドイチェ・ヴェレはこのほど、「アフリカのリチウム採掘でクリーンエネルギーの弊害が暴露される」とする記事を掲載した。

記事によると、アフリカでの新たなリチウム採掘競争が汚職をあおり、地域社会や環境に悪影響を及ぼしていることが調査で判明した。

アフリカ南西部のナミビアにある中国企業が所有するリチウム鉱山で、地元の労働者らが劣悪な生活環境や危険な労働環境について不満を訴えている。

中国企業の新豊投資が所有するウイス鉱山で、地元の労働者が新鮮な空気を循環させる十分な場所もなく、高温の狭い場所に住んでいるのに対し、中国人労働者はエアコンとトイレが付いた条件の良い場所に住んでいることがナミビアの鉱山労働組合のメンバーらが行った調査で判明した。労働組合はまた、この中国企業に対し、労働者が勤務中に特別な防護服を着るなどの安全対策を講じていないことについても非難したという。

記事によると、この中国企業をめぐる物議はこれだけではなく、国際NGOグローバル・ウィットネスが実施したアフリカのリチウム採掘に関する新たな調査で、汚職を通じてウイス鉱山を所有する許可を得たことから、小規模採掘許可を通じて鉱山を開発することまで、同社に対する容疑が列挙されている。

報告書にはナミビアと同様にコンゴやジンバブエのリチウム鉱山における人権侵害、汚職、危険な労働環境の事例も列挙されている。グローバル・ウィットネスの主任研究員コリン・ロバートソン氏によると、アフリカの鉱業セクターは過去数十年にわたり汚職問題と結びついており、民衆は常に利益を得ることができていない。リチウム鉱物の採掘において物事が同じ方向に進んでいることに大きな懸念を抱いているという。

この鉱物は、自動車だけでなく携帯電話のバッテリーの製造にも欠かせない。オーストラリア、チリ、中国の生産上位3カ国合計で世界全体の年間リチウム生産量の約90%を占める。アフリカの埋蔵量は世界全体の約5%を占めるにすぎないが、開発の潜在力が大きいため過小評価はできない。アフリカでリチウム鉱石を輸出しているのはジンバブエとナミビアだけだが、コンゴ、マリ、ガーナ、ナイジェリア、ルワンダ、エチオピアなどでプロジェクトが進行中だ。

国際エネルギー機関の見通しによると、リチウムの需要は2040年までに約40倍に増加する可能性がある。経済大国や国際企業がアフリカのリチウムにアクセスすることになり、それがアフリカ大陸でまん延する汚職を増加させ、鉱物が発見された地域の住民がその恩恵を受けられない原因となっている。

記事によると、中国はアフリカのリチウム採掘を事実上独占している。コンサルタント会社ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスの推計によると、今後10年間のアフリカのリチウム供給量の約83%に中国のプロジェクトが関与するとみられる。

2022年に中国の鉱山大手3社がジンバブエの6億7800万ドル(約1014億円)相当のリチウム鉱山とプロジェクトを取得した。ジンバブエ環境法協会(ZELA)が発行した最近の報告書には、「一国によるリチウム採掘の独占は、鉱物資源の過小評価、租税回避、人権侵害などの望ましくない結果を招く可能性がある」と記されているという。

グローバル・ウィットネスのロバートソン氏は、欧州連合(EU)と米国に対し、鉱業の透明性を高め、汚職と闘うために地元の活動家による監視を強化するよう求めた。ジンバブエ自然資源管理センターのファライ・マグウ氏は、鉱山プロジェクトからの利益は道路建設、医療施設、学校の形で地域社会に還元されるべきだと強調し、「私たちは未利用の鉱物資源を自然資本とみなしており、地元の人々だけでなく子どもたちもその恩恵を受けるべきだ」と語った。(翻訳・編集/柳川)