屋内で飼いやすく散歩も不要なことから、ここ数年ペット人気が上昇中なのが「猫」。そんな背景もあり登場したのが獣医師監修の「猫と暮らすことを前提に設計されたリノベーション」マンション。そこには猫と飼い主が共に快適に過ごすためのアイデアが詰まっています。

猫の飼育数が犬を超えたのが数年前。今後も猫の飼育率は拡大が見込まれているそうです。そんな愛猫家向けに「MyRENO(マイリノ)」が提案しているリノベーションプランが「マイリノペット forねこ」。約2年前にスタートしたこのプランは、獣医師監修のもと、人と猫が共に快適に暮らせる工夫が施されています。

ペットを飼う際の悩みBEST5

1位:臭い
2位:掃除の大変さ
3位:ペット用品の収納
4位:ペットの健康管理
5位:鳴き声などの騒音

飼い主の悩みを解決し、ペットと暮らすことを最大限に楽しむための家造りを目指すのがこのリノベーションプラン。マイリノペットの設計担当・植田さんによると、「圧倒的に多い悩みが、臭いと毛の問題です。ペットの健康ももちろんですが、大切なことは飼う人間の負担も減らし、ペットも飼い主さんも幸せになるということ。そのために、獣医に監修いただき、ペットに適した素材の選定や、悩みを解決する生活導線、オリジナル家具などを考案しました」

今回紹介するこの物件も、ぱっと見は、一般的な素敵なお住まいですが、いろいろなところに猫向けの仕掛けがしてあります。プランを監修しているのは田園調布動物病院の田向健一院長です。

田園調布動物病院院長、獣医学博士である田向健一先生。犬猫から小動物まで幅広く診療しており、その専門知識を生かした著書も多数。現在、保護猫3匹とミニチュアダックス1匹の他、小鳥、小動物など30匹もの動物たちと暮らしています。

猫も人間も楽しく住める
家造りの5大アイデア

1:洗面室に換気扇つき猫トイレを設置
臭いや掃除の手間を減らす

洗面台の下に設置された、猫専用トイレの扉を開けた様子。中央パイプの奥にあるのが換気扇で、2匹の猫が自由に出入りできる仕様に。床には汚れに強く掃除がしやすいフロアタイルを採用。掃除の手間が省けるよう、猫用と人間用のトイレはすぐ隣に設定。掃除用品やかさばる猫砂が置けるよう、洗面室は収納も充実させています。

困りごとランキングでも圧倒的に多かった臭い問題。それを解消すべく考案されたのが、猫用トイレコーナーを設けたオリジナルの洗面台です。リビングに猫トイレを置いている家庭が多いですが、洗面室に設置すれば人が長く過ごす空間から臭いを軽減することができます。また、来客があっても目につかず一石二鳥です。洗面台の下に換気システムを設け、臭いをすぐに排出する工夫は田向先生自身の経験から。「私も猫を3匹飼っていて猫トイレ用の換気扇があったらいいなと常々思っていたので提案しました。また、人間用トイレのすぐ近くに猫トイレがあれば、猫の排泄物をそのまま流すことも可能です。掃除は毎日のことですので、やはり面倒でないことが一番ですからね」

2:家具と一体化したキャットスペースで
猫の運動不足を楽しく解消

リビングの天井面に設置したキャットルーフ。お客様の要望に沿って1点ずつつくるため、インテリアの雰囲気にも自然に溶け込みます。個体差に合わせて高さなどを設定。

犬とは違って縦運動をする習性があるのが猫の特徴。そのため、猫を飼う家ではキャットタワーなどを置き、運動不足を解消する必要があります。「運動は肥満防止にもストレス発散にもなるので、肉体的にも精神的にも猫の健康を保ってくれます」。大きさや脚力は猫によって違いますが、ステップの幅なども、その猫の特性や飼い主さんの要望にあったものが作れる点もリノベーションの魅力。市販のキャットタワーを置くのとは違って、きちんとインテリアの一部になっているから部屋のお洒落さを損なうこともなし。人見知りの猫のしっぽや脚がぴょこっと出ている様子が可愛いと飼い主さんからも好評だそう。

3:脱走防止ドアと猫専用入り口で
猫の脱走の心配を減らす

玄関とリビングをつなぐ廊下にはセーフティネットとして脱走防止ドアを。またリビングから洗面室へ自由に行き来ができる猫専用の入り口もあり。

田向先生によれば、事故や病気の感染などの懸念から、都心部の猫は100%室内飼いが推奨されているのだそう。そこで心配されるのが、猫の脱走問題。外から玄関のドアを開ける際は、特に注意が必要です。「私の家ではベビーゲージで対策しているのですが、それでは猫は飛び越えてしまいます。なので、玄関とリビングの間にはしっかりとした扉の設置を提案しました。扉の向こうに猫がいることがわかるよう、安全面も考慮してガラスは透明にしています」。また、猫が廊下を通らずにトイレに行けるよう、リビングから洗面室へは猫専用の入り口を設置。これなら、その都度ドアを開け閉めする必要もなく、飼い主が不在のときでも猫がいつでも自由に出入りできます。

4:猫も人間も暮らしやすい
安心できる壁材・床材を選定

<左上>リビングには火山灰を原料にした塗り壁を採用。<左下>洗面室の一部には猫柄クロスでアクセント。好きな柄が選べるのもオーダーリノベーションならでは。<右>さらさらとした木の感触が心地いいリビングのフローリング。木の色みも選べるそうです。

猫が安心して快適に過ごせる壁や床などの素材も、田向先生と共同で選定。リビングに採用したのは自然素材の塗り壁。吸湿・放湿効果やカビやダニの抑制、ペット独特のにおいを軽減する効果もあり、人間にとっても快適な空間になります。「猫は驚いたときなどに壁を上る習性があるため、爪が立ちにくい素材を選びました。傷を防止するだけでなく、猫の爪を守るためでもあります」。また、床材には赤ちゃんが舐めても安心なオイルを塗装した無垢材を使用。リビングは温度変化の少ない無垢材、洗面室はひんやりとしたタイルで床材を使い分け、夏は暑がり、冬は寒がりな猫が好きな温度の場所を選べるようにしています。

5:あえて猫が入れない空間を作り
猫の毛の悩みやいたずらを解消

猫が入れないように仕切られた部屋には、ベッドや洋服、仕事道具を。右奥の廊下部分には、部屋干しができる洗濯スペースもあります。

寝室やウォークインクローゼットがあるスペースは、あえて猫が立ち入れない空間として間取りを設計。猫と人とが適度な距離をとることも、お互いが心地よく暮らすために大切なこと。「洋服や仕事の書類などを置くため、猫が入れない部屋をつくりたいというお客さまのご希望を反映しました」。また、ウォークインクローゼット横の日当たりのいい場所には、洗濯物を部屋干しできるスペースを完備。洋服に猫の毛がつく心配もなく、ベランダからの脱走も防いでくれるそうです。

2匹の猫が「猫らしく過ごせる家」が
こちらの物件のリノベーションテーマ

今回ご紹介したのは、平成6年築、世田谷区にある約53㎡のマンションをリノベーションした物件。飼い主の女性と2匹の猫ちゃんが一緒に暮らしている物件は、猫が猫らしく過ごせるようにという要望から、自由に動き回れるキャットスペースをリビングにたっぷりとっています。以前の家よりも猫たちがのびのび動き回るようになったようで、飼い主さんがとても驚かれていました。キッチンからその姿を眺めることで、猫たちとの距離がより縮まった気がするそうです。

キャットスペースで動き回る猫ちゃんたちの様子が眺められるキッチン。猫と飼い主がお互いに居場所を確認し合えるよう設計されています。

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猫と暮らすための新しい家づくりはいかがでしたか? 実際に住まれた方がより楽しんで猫と生活してくれることが、田向先生にとってもマイリノの担当者にとっても一番の喜びだといいます。今猫を飼っている方もこれから飼う予定の方も、ぜひ素敵な暮らし方の参考にしてみてください。

text | 世古清佳