好きな野菜ランキングでは常に上位に選ばれる、愛され野菜がトマト。栄養があるのは知っていたけど、どういいのかは分からない人も多いと思います。トマトをこよなく愛するトマト博士こと唐沢明さんに、その栄養価や効果的な食べ方など覚えておきたいトマトの知識をまとめて聞いてみました。

抗酸化作用の強い栄養素が豊富なトマト

医者いらずと言われる食べ物は数多くありますが、トマトもそのひとつ。ヨーロッパでは、「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざもあるくらいです。なかでも注目したいのは、その抗酸化作用。活性酸素を中和し老化対策になるリコピンやβ-カロテン、ビタミンC、ビタミンEといった多くの栄養素が含まれ、アンチエイジングや美容にぴったりな野菜です。特にリコピンの抗酸化力は、ビタミンEの100倍と言われるほど強力。「トマトに含まれる栄養素の代表格といえばリコピンです。トマトの赤色はリコピンの色素で、強い抗酸化作用があります。つまり体のサビを防いでくれるわけで、アンチエイジングや美肌、生活習慣病の予防に期待が持てるんです」(トマト研究家・日本一のトマト博士 唐沢 明さん 以下同)。

サラダで食べるより加熱するほうが
トマトの抗酸化力をしっかり吸収できる!

リコピンは熱を加えると吸収率が2〜3倍アップするので、加熱調理するほうがトマトの栄養をしっかり摂取できるって知ってましたか?「リコピンの1日の理想的な摂取量は15〜20mgと言われていますが、一般的な生食用のトマトだと中玉2個分、プチトマトなら17個分です。実はトマト加工品は生トマトよりもリコピンを効率よく摂取できるので、トマトジュースならコップ1杯(200ml)でOK。ケチャップやトマトピューレなどを上手に使うのもおすすめです」

毎朝欠かさずトマトジュースを飲むことを日課にしている唐沢さん。50代になった現在も肌がつやつやなのはトマトのおかげだと昨今身をもってトマトのパワーを感じているそう。ちなみに、唐沢さんのおすすめフルーツトマトは、「富山県産フォレストフルティカトマト」と、「長野県産朝採り完熟トマト」。

毎日食べ続けることで栄養効果が発揮されるトマトは、普段食べている料理にちょこっと足していけば抵抗なくおいしく食べられるとのことなので、唐沢さんおすすめの簡単レシピを紹介します。

トマトとみそのうま味がだし代わり!
「トマトのみそ汁」

【材料(1人分)】トマト:1/2個、シメジ:30g、アサリ:10個、みそ:大さじ1、水:1カップ(200ml)、小口切りの長ネギ:適宜 【作り方】 砂出し洗ったアサリと水を鍋に入れ火にかける トマトを6等分にくし型に切り、シメジを小房に分ける アサリの殻が開いたら②を加えシメジに火が通ったらみそを溶く 器に盛り長ネギを散らす

「トマトと同じくグルタミン酸が豊富なみそは相性のいい食材で、合わせてみそ汁にすると、コクとうま味がアップしてとてもおいしいんです。私はよく朝食に食べますが、トマトの酸味で体もシャキッと目覚めます。生のトマトの代わりにトマトジュースやトマトピューレ、トマト缶をみそ汁にちょい足しするだけでもおいしいですよ」

リゾットみたいな濃厚リッチな味わい
「トマトの炊き込みごはん」

【材料(作りやすい分量)】米:2合、ミニトマト:5個、トマトジュース:400〜450ml、油を切ったツナ缶:1缶、塩コンブ:大さじ2強、キムチ:適量、塩&こしょう:適量 【作り方】 米を研いで炊飯器の内釜にセット トマトジュースを水の場合と同じ分量注ぎ、他の具材も入れる 炊き上がったらミニトマトをしゃもじで軽くつぶしながらさっくり混ぜ合わせる 塩&こしょうで味つけして完成

「我が家でもよく作るトマトの炊き込みごはん。包丁とまな板なしで手軽に調理できるので、トマト料理に迷ったら、ぜひ作っていただきたい一品です。ポイントは水の代わりにトマトジュースでお米を炊くこと。ちなみに白米同様普通コースで炊けます! ピリ辛のキムチが味を引き締め、リゾットのようなチキンライスのような濃厚で食べごたえのある味に仕上がります」

トマト缶やピューレを使えば簡単。
爽やかな酸味が癖になる
「チキンカレー」

【材料(2人分)】 トマト缶:1缶、トマトピューレ:大さじ4、鶏むね肉:1枚、玉ネギ:1個、ショウガ:10g、ニンニク:1片、塩&こしょう:適量、市販のカレールー:2皿分、水:2カップ(400cc)、サラダ油:小さじ1、ミニトマト:2個 【作り方】 玉ネギ、ショウガ、ニンニクをすりおろす 鶏むね肉は4等分に切り、塩&こしょうをして油を熱したフライパンで焼く   鍋にサラダ油を熱し、①が色づくまで炒める ③にトマト缶、トマトピューレ、水を加え、②の鶏むね肉を加えて約20分煮込む カレールーを溶かし入れさらに約10分煮込む 縦半分に切ったミニトマトを添える

「トマトとカレーは相性抜群なので、カレーを作るときはぜひトマトをちょい足ししてください。トマト缶だけでも作れますが、トマトピューレを足すことでより味に深みが増します。具材はシンプルにチキンと玉ネギだけなので、トマトのおいしさが際立つメニューです」

リコピンを上手に摂取する3つのポイント

  • 継続して食べる〜「サラダのようにトマトメインの料理にだけ使うのではなく、肉や魚料理、スープなどさまざまな料理にうま味の素として加熱して使ってみましょう。トマトにはうま味成分のグルタミン酸が含まれているため、料理にプラスすると味に深みが増しますよ」
  • 油と一緒に加熱する〜「リコピンは油に溶けやすい性質があり、さらに加熱調理をしたほうがトマトの細胞壁が壊れてリコピンを吸収しやすくなります。トマトソースのパスタやリゾット、煮込み料理、アクアパッツァなどイタリアンにはそれに該当する料理が多いので参考にするといいですよ」
  • 加工品を上手に利用する〜「生のトマトよりもリコピンを効率よく摂取できるのは加工品です。リコピン15mgを摂取する場合、トマトジュースならコップ1杯、ケチャップなら大さじ4杯、ホールトマトなら2分の1缶を目安にするといいと思います。実際にヨーロッパではトマトを生食することはあまりなく、ホールトマトなどの缶詰がメジャーです」

〈おまけ〉
アンチエイジングだけじゃない

メタボ解消にも期待できます!

唐沢さんいわく、他にも注目したい栄養素はまだまだあるんだとか。「皮膚や粘膜の健康を保つビタミンA(カロテン)は540mg、その他ビタミンB群やマグネシウム、カリウムなどのミネラル類もバランスよく含まれています。さらに、疲労回復に効果のあるクエン酸や整腸作用のあるペクチン、花粉症の症状を緩和するナリンゲニンカルコンと呼ばれるポリフェノールも果皮に含まれています。また、2012年の京都大学の研究では、トマトには脂肪の代謝を促す新規成分13-oxo-ODAがあることが分かり、メタボリック症候群の予防にも期待されているんですよ」。つまり現代人にとってトマトは健康を維持するためにはエース級の野菜。たくさん食べないともったいないですよ!

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ちなみにおいしいトマトの見分け方を伺うと、「ガクがピンと張っていて、おしり部分にスターマークと呼ばれる放射線状の白い線がくっきり出ているのが目印です。また、ずっしり重みのあるほうが果肉がたっぷり含まれていておいしいですよ」。完熟前のトマトは冷蔵保存せず常温で追熟させ、しっかり赤くなってからいただきましょう。毎日トマトを食べる習慣をつけて、唐沢さんのように50代になってもサビない体を手に入れたいですね。

text | misa