[20日 ロイター] - 米大手銀はここ数年、自己勘定取引からマーケットメークに事業の軸足を移すため、多大な金銭的、人的資源を投じてきたが、それでも相場が思わぬ方向に動くと大幅損失を免れない。ゴールドマン・サックス<GS.N>が今週発表した第2・四半期決算が好例だ。

ゴールドマンの1株当たり利益は前年同期の3.72ドルから3.95ドルに増加したが、コモディティ取引の収益は上場企業として過去最悪だった。

マーティー・チャベス最高財務責任者(CFO)はマーケットメークを小売店になぞらえ、顧客の需要を読み誤り、棚に並べる商品を間違えたと説明。顧客の売りを吸収し、顧客が望みそうな新商品を作り出す能力が必要だとし、トレーディングのリスク管理は「芸術であり、科学でもある」と難しさを強調した。

ゴールドマンだけではない。ここ数年、米JPモルガン・チェース<JPM.N>、米シティグループ<C.N>、英バークレイズ<BARC.L>、独ドイツ銀行<DBKGn.DE>といった大手銀はそろって為替、金利、債券の市場で損失に苦しんできた。

金融危機の反省に立ち、自己勘定取引を制限するために導入された「ボルカー・ルール」の下、銀行は「常識的に予想される短期的な需要」を満たすだけのポジションしか保有できなくなった。しかしその結果、一部の市場では流動性が細り、銀行が顧客のため、あるいは自社のリスク管理目的でポジションを手当てするコストは上がった。

また、自己資本規制の強化により、ある種の資産の保有コストが上がった一方、一部の市場では長期間にわたって変動が小さくなり、突然の取引急増を予想しづらくなった。

<まぐれ>

突然の相場変動による損失を防ごうと、銀行は市場の方向を予想するアルゴリズムを開発し、トレーダーがリスク上限を破れないようにする技術を導入し、リスク管理者の採用を増やし、彼らの権限を高めてディーラーの意思決定に異議を唱えられるようにした。

コンサルティング会社オピマスによると、銀行は昨年、管理・法令順守システムと人員強化に1000億ドル以上を投じた。

しかしゴールドマンが第2・四半期に直面したように、コモディティ価格が大幅下落し、他の市場の変動率が歴史的低水準になり、顧客の取引が減少するという環境下では、そうした努力も無駄になる可能性がある。

同社のコモディティ調査アナリストらは6月29日のリポートで、相場が予想外の基調をたどったことについて「われわれ(そして市場)はどうしてこんなに読み間違ってしまったのだろう」と嘆いた。

ゴールドマンは長らく、リスク管理スタッフの独立性と権限の強さを誇ってきた。3月にはリスク管理チームを独立部門に移すことで、さらに重要性を高めた。

銀行アナリストの中には、過去の実績に鑑みてゴールドマンの今回の業績を大目に見るべきだ、との声もある。

オッペンハイマーのアナリスト、クリス・コトウスキー氏は「(今回のような結果が出るのは)この商売の定めだ。問題になるのは、自己資本比率に食い込んで社を危険に陥れるほど巨額の損失を出すか、あるいは慢性的に今回のような損失を出し続ける場合だ。今回の損失がまぐれではなく慢性だと結論付けるのはまだ早い」と話した。

(Olivia Oran記者)