[ロンドン 20日 ロイター] - 欧州企業は今、設備投資の前年比伸び率が世界で最も高い。手元に潤沢な現金を保有している上に、何年も続けてきた守りの姿勢から脱却しつつあるからだ。

ソブリン債危機や低調な利益、政治的不透明感などに見舞われていた欧州企業は過去数年間、投資計画を棚上げしてきた。しかし現在は、利益見通しが7年余りぶりの高水準となり、借り入れコストは低く、地域経済は勢いが増している。そこで各企業は機械や生産設備の更新に再び目を向けるようになった。

欧州では来週が企業決算発表のピークで、特に工業や建設といったインフラ関連セクターで設備投資が注目を集めるだろう。

これまでに出ている材料は明るい。欧州企業の足元の設備投資は前年比約3%増で、他の主要地域を優に上回っている。

ナティクシス・グローバル・アセット・マネジメントのチーフ市場ストラテジスト、デーブ・ラファーティ氏は「企業業績が改善しているのに伴って、設備投資が上向く様子が見え始めていると思う」と述べた。

格付け会社ムーディーズは最近のリポートで、欧州・中東・アフリカ(EMEA)企業の昨年末の現金保有額が1兆ユーロに迫り、売上高に対する現金の比率は7年来の高さになったと分析した。

またバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは調査ノートで、欧州の大手顧客企業の今年の設備投資伸び率は中央値が20%に達するとの見通しを示した。

欧州中央銀行(ECB)が量的緩和縮小を準備する中で今後金利が上昇する可能性があることから、低金利のうちに資金を調達しておこうという企業が増える可能性がある。

オールド・ミューチュアル・ヨーロピアン・エクイティ(除く英国)ファンドのマネジャー、リーアム・ナン氏は、もし企業が今後数年以内に着手する設備投資があると分かっているなら、借り入れコストが低い間に資金を確保しておこうというのは悪くない考えだと説明した。

投資家の心理変化も設備投資を後押しする要因だ。欧州の成長見通しがどう見ても不確実だった昨年までは、投資家は事業拡張を目指す企業に冷淡で、むしろ配当や自社株買いに内部留保を回す企業に好意的だった。

ところが欧州企業のバリュエーションが長期平均を超えるようになったため、自社株買いは割高になっている。ラファーティ氏は、自社株買いの有効性が薄れている以上、経営者は自社株買い熱を少しばかり冷ます必要があるとの見方を示した。

トムソン・ロイターのデータによると、欧州企業の予想利益に基づく株価収益率(PER)は足元が約15.2倍、過去30年平均は14倍だ。

<焦点はインフラ>

現在の設備投資拡大局面で焦点になるのは、インフラ関連になる見込みだ。各国政府も経済成長てこ入れのために、インフラ投資を最優先で取り組む政策と位置付けている。

今月に入ってスペインは、50億ユーロ規模の官民による高速道路整備計画を発表した。ドイツのメルケル首相にも、財政黒字を減らしてインフラ投資を拡大するよう求める圧力が強まっている。フランスのマクロン大統領は、既に公約として今後5年間で500億ユーロの公共投資を実行すると掲げている。

クレディ・スイスのグローバル株式ストラテジスト、ロバート・グリフィス氏は「欧州経済とその成長見通しの強じんさに自信を深めているとすれば、企業は単に他社を買収するよりも設備投資に動いても良いと確信を持つだろう」と話した。

(Kit Rees記者)