[東京 28日 ロイター] - 証券取引等監視委員会は、インターネット上のツイートやうわさの書き込みなどをビッグデータとして活用し、不正摘発強化につなげる手法の検討を始めた。関係筋がロイターの取材に答えた。ネット上の公開情報には不正取引摘発の端緒になる情報が隠れているが、これまでは検索・調査が難しかった。ビッグデータ的な処理により、強力な摘発力のシステム構築を目指す。4─5年内の実用化へ、来年度概算要求での計上を目指す。

収集分析するデータは、マクロ経済データに加えて有価証券報告書データ、取引所開示データのほか、さまざまなオープンデータ、個別銘柄を巡るネット情報など、証券取引にかかわる情報について幅広い範囲を対象にする。

そうした中から、全体の流れと異なる動きをしている銘柄を抽出したり、人工知能(AI)なども活用して検索・調査を実施する。

また、今年5月に改正「金融商品取引法」が公布され、株式の高速取引業者が登録制となり、取引記録の作成・保存が義務付けられた。そのため、当局はそうした登録業者から提供されたデータも検索・調査の対象にできるようになった。

具体的イメージとしては、マクロ経済データやネット情報から抽出される市場分析審査が「情報の入り口」となる。ここで、同業種の取引傾向と異なる動きをしている銘柄や取引タイミングの「ずれ」などのデータを抽出。そこが不正取引摘発への端緒となる。

このようなデータを把握して、問題のある取引についてオンサイト検査に臨めば、嫌疑の濃いケースに的を絞って調査を進めることができ、効率的・迅速な不正摘発につなげることができると、関係筋はみている。

今後、新たなシステム構築に向け、クラウドシステムや証券取引所システム、他省庁との連携を含め、検索・調査の対象となる取り込み可能なデータの規模を検討していく。

関係筋によると、証券監視委は来年度予算の概算要求で、情報システムの設計方向、構造などを調査・検討する目的で予算を要求したいとしている。

証券取引等監視委員会の引頭麻実委員は「監視委員会が市場の公正性・透明性の確保という使命を果たすためには、市場監視においても、ビッグデータの活用など、市場におけるITやAI技術の進展に対応したシステムを整備する必要がある」と述べている。

*3段落目の文字を修正して再送しました。

(中川泉 編集:田巻一彦)